増え続けるクマの目撃に、自治体は対応に追われています。宮城県富谷市ではクマ対策本部が設置され、総事業費3500万円を超える対策が打ち出されました。

 若生裕俊富谷市長「本市におきましても9月12日に宮城県では最初に人身被害が発生、全職員協力して対策に取り組んでいきたいと思いますのでよろしくお願いします」

 富谷市では2025年度は既に前年度の倍以上となる110件のクマの目撃があり、7日にクマ対策本部を設置しました。

 14日に開催された2回目の対策本部会議では、市が進めている対策の進捗状況などが報告されました。

 このうち、10日から始めた生活圏にある栗や柿の木などを無償で伐採する取り組みでは、申し込み件数が既に30件を超えています。

 そして、宮城県から配布されたクマの対策グッズを学校や公共施設などに配備することや、箱わなを新たに4基追加で発注したことなどが報告されました。

 富谷市のクマ対策は総事業費3570万円に及ぶ大規模な取り組みで、市は11月の議会に補正予算案を提出することにしています。

 若生裕俊富谷市長「クマの対策はある意味災害に匹敵するものだと思っております。とにかく市民の生命と財産を守るという最大の使命を守っていく」

 富谷市は、国や宮城県にも支援を要望していくということです。

 自治体が対策に追われる中、クマの餌となるブナの実が大凶作であることが分かりました。

 東北森林管理局は、9月から10月にかけてのブナの実の実り具合を公表しました。

 宮城県では調査した6カ所のうち5カ所が実が無い状態で、1カ所はごくわずかについていました。

 この結果、宮城県では2023年度以来2年ぶりに大凶作と判断されました。

 ブナの実はクマが冬眠前の秋に好んで食べるとされ、大凶作はクマが生活圏に近づく1つの要因です。

 宮城県のクマの目撃件数は13日現在で2500件以上。年間で過去最も多かった2016年度の1642件を既に900件ほど上回っています。

 県の担当者は、山から生活圏へのクマの通り道になる森や公園、川沿いには近づかないようにしてほしいと呼び掛けています。

 人の生活圏へのクマの侵入を防ごうと、河川のやぶを刈り取る作業が進められています。

 中津川夏帆記者「近くにビルやマンションなどが立ち並ぶ広瀬川沿いのエリアでも、刈払いが行われています」

 宮城県は、10日から過去にクマが目撃された場所の周辺で河川のやぶを刈り取る作業を進めています。

 対象は仙台市や大崎市、加美町など18河川26カ所で、県がクマ対策として刈払いを実施するのは初めてです。

 このうち仙台市青葉区の広瀬川では、評定河原橋から霊屋橋までの周辺の茂みなど仙台中心部の約1キロが対象となっていて、14日も草刈り機や重機を使って作業が進められていました。

 県が行う対象箇所全体の刈払いは、11月末を目標に完了する予定です。

 そして、広瀬川にほど近い瑞鳳殿で13日夜、クマらしきものの目撃があり当面の間西側のエリアを一部閉鎖を決めました。15日から始まる紅葉のライトアップは予定通り行うということです。