カキのおいしさを競う全国大会で準優勝に輝いた、宮城県産のブランドカキを生産する若手漁師たちの取り組みです。

 三陸の豊かな海で育った宮城県のカキは、身がぷっくりと大きくなる3月から4月にかけてが一番おいしいシーズンです。
 蒸しカキの食べ放題が人気の松島町のかき小屋では、観光客がカキを味わっていました。
 「おいしいですね。甘いですよね、厚いというか、新潟に比べて厚いですよね。濃厚ですよね。おいしいです」

 店長のおすすめは、生のブランドカキです。
 「南三陸の戸倉っこかきになります」
 関謙次記者「貝柱がしっかりと味がしていて、かめばかむほど味が強くなる感じがします」
 戸倉っこかきは、南三陸町の戸倉地区で生産されているブランドカキです。
 松島かき小屋MATSU安食俊介さん「身の部分が甘いことはもちろんですけど、貝柱が圧倒的に甘い。かめばかむほど甘みが出てくることが、戸倉っこかきの人気の特徴だと思います。最高の生カキだと思っています」

 南三陸町戸倉地区では、震災の被害を機に過密だった養殖いかだの数を約3分の1に減らしました。このため海の栄養が行き渡るようになりカキの品質が劇的に改善したほか、通常より短い1年で大きく育つこともおいしさの秘訣ということです。
 カキ生産者後藤伸弥さん「1年でつくことによってえぐみや雑味の少ないおいしいカキを、とにかくたくさんの人たちに知ってもらいたいですね」

 後藤さんの漁師仲間で同じく戸倉っこかき生産者の後藤新太郎さんは、カキ殻の付着物をなたで落としています。
 カキ生産者後藤新太郎さん「フジツボだったりムール貝ですか、イガイですね。色々付いているので落としてあげて、高圧洗浄機で洗ってきれいにして出荷する形ですね」

 2人は南三陸町の魅力を伝えようと、8年前に若手漁師4人で立ち上げた、戸倉SeaBoysのメンバーで伸弥さんがリーダーを務めています。
 グループの活動の1つが、三陸の海産物の味を全国発信することです。Fish-1グランプリというイベントに2025年まで3回、戸倉っこかきを使った料理を出品し優勝2回、準優勝1回と抜群の成績を残してきました。

 更に2月、新たな勲章が加わりました。
 カキ生産者後藤新太郎さん「グランプリは獲れませんでしたが、準グランプリということで評価してもらっています」

 カキの味を競う全国牡蠣-1グランプリで初出場にもかかわらず、生食の部門で準優勝に輝きました。出品者の名前を伏せたカキを食べ比べる審査方法で勝ち残り、戸倉っこかきのおいしさを改めて証明しました。
 カキ生産者後藤伸弥さん「1年で育てることによって雑味の少なさとか甘みだったりとかを感じやすいカキが評価されたんじゃないかなと思っています」
 カキ生産者後藤新太郎さん「このように評価してもらえたのはすごくうれしかったので、これに自信を持って更に飛躍していけたらと思います」

 ふるさとの豊かな海を次世代に残す取り組みも。養殖カキをめぐっては近年、海水温の上昇などによって死んでしまったり生育が遅れたりする問題が深刻になっています。2025年も生産量日本一の広島県などでカキの大量死が発生し、宮城県でも水揚げしたカキの7割近くが死んだ海域がありました。

 海の環境が変わりつつある中、自然を持続させることもテーマの1つということです。
 後藤伸弥さんは、メカブの硬くて食用に向かない部分を全て南三陸町の農家に譲っています。
 カキ生産者後藤伸弥さん「海に戻すよりも肥料として使ってもらえるんだったら有効活用できるということで、農家さんも肥料が高騰していると聞くので、町内で回せたら一番いいんじゃないのかなと思って」

 カキ養殖に限らず、厳しい労働環境や過疎化などで後継者不足にも直面しています。
 戸倉SeaBoysは漁業体験や試食会などを開催し、県外から訪れる多くの人に漁業の魅力も発信しています。
 後藤伸弥さん「親から受け継いだ漁業を環境に合わせてちょっとずつ変えていくことはもちろん大切だと思うんですが、やっぱりおいしいものをとにかく届けたいなと思ってるので、量だけじゃなくておいしいって思ってもらえるような海産を作っていけたらなと思っています」
 カキ生産者後藤新太郎さん「もちろん南三陸町もどんどん人口が減っていって漁師になってくれる次世代は少なくなっていくと思うんですけど、自分たちができる限りはカキ養殖を続けていきたいなと思っていますし、またカキ食べに行きたいな、遊びに行きたいなって思えるような町にしていけたらいいのかなって思います」