フランス・パリで第2次世界大戦中にナチス・ドイツに奪われたバイオリンが86年ぶりに遺族に返還されました。「略奪楽器」の返還は極めて珍しい事例だということです。

 パリ市内で7日、バイオリンの演奏会が開かれました。

 楽器は1905年にパリで製作されたもので、若いバイオリニストが所有していましたが、第2次世界大戦中の1940年にナチス・ドイツに略奪され、行方不明となっていました。

 発見のきっかけを作ったのが略奪された楽器を調査する団体の代表ベルネムさんです。

 おととし、オークション会社から「略奪された楽器が出品されている」と連絡を受けたといいます。

 戦後、フランス政府が楽器に刻印された「製造番号」をもとにナチスに略奪された楽器をリスト化していました。

 しかし、楽器は個人の所有を証明する記録が残りにくく、持ち主の特定が困難とされてきました。

 今回のバイオリンはベルネムさんが約2年かけて製造番号などから持ち主を特定できたといいます。

NGO「音楽と略奪」 ベルネムさん 「とても感動しましたし、心からうれしかったです。楽器の返還プロセスにおいて、ここまで到達できたことは一度もなかったからです」

 今月7日夜、修復されて復活したバイオリンは86年ぶりに若きバイオリニストの遺族に返還されました。

 ベルネムさんによりますと、ナチスに略奪された楽器を民間で調査して遺族に返還された例は今回が初めてだということです。

遺族 「略奪の話は聞いたことがありませんでした。感動で胸がいっぱいです。そして私たち家族以上に、財産を略奪されて大きな犠牲を払ったユダヤ人の方々のことを深く思わずにはいられません」