新型コロナの影響で被災地を訪れる人が減少する中、震災の経験や教訓を伝える活動も苦境に陥っています。

 それでも「未来の命を救いたい」と、強い気持ちを胸に抱く「語り部」を取材しました。

 所田裕樹記者「まもなく語り部バスが出発します。約1時間半かけて南三陸町の被災地を巡るということです」

 語り部として活動する阿部裕樹さんは震災以降、南三陸の復興を見届けてきました。

 南三陸ホテル観洋語り部阿部裕樹さん「地震も津波も悪いものではなく自然の営み。これからもやってくる。まずは自分の身を守ってほしい。自分を守れなかったら大切な人は救えない

 語り部バスは、利用者らが屋上に逃げて327人が助かった民間の震災遺構、高野会館や、津波で町の職員ら43人が犠牲となった旧防災対策庁舎などを巡りました。

 参加者「(見聞きしたことは)記憶に自分の頭に心に、残していかなくてはいけないことだと思います」

 これまでに約42万人が乗車した語り部バス。

 コロナ禍の影響で、参加者はピーク時に比べ1割ほどに落ち込んでいるということです。

 それでも、語り部バスを運行している南三陸町内にあるホテルは「1人でも参加者がいれば運行する」としています。

 南三陸ホテル観洋支配人小野寺浩さん「ああいった経験をこの場でした以上、伝えるというという役割が確実にあります。どのような形に今後なっていくか分かりませんが、現地に来て自分の五感で感じていただくということ。分からない部分は私たちがお話させていただく」