宮城県は最大クラスの津波が発生した場合の新たな浸水想定を公表しました。新しい想定では、津波の高さは最大で気仙沼市本吉で22.2メートルに達し、9市町では庁舎が浸水することが明らかになりました。

 宮城県は10日、津波対策連絡協議会を開き、最大クラスの津波が発生した場合の浸水想定を公表しました。

 想定は東日本大震災と同じ東北地方太平洋沖と日本海溝、千島海溝で起きる巨大地震について津波のシミュレーションをそれぞれ行いました。津波は満潮時に地盤沈下が起き、防潮堤や水門などが壊れた最悪のケースを想定し、地形のデータは2019年時点のものが採用されています。

 津波が最も高いのは気仙沼市本吉で22.2メートル、次いで南三陸町戸倉で21.2メートル、女川町海岸通りで20.7メートル、石巻市雄勝で19.6メートルなどとなっています。

 津波の第一波が到達するまでの時間は、石巻市と気仙沼市が最も早く21分、南三陸町で23分、女川町で25分となっていて、沿岸15の全市町で1時間以内に到達すると予測されています。

 また、災害時の拠点となる庁舎の多くが浸水することも分かりました。浸水エリアに含まれたのは、気仙沼市、石巻市、東松島市、塩釜市、多賀城市、岩沼市、女川町、松島町、亘理町の9市町です。

 このうち女川町、松島町、亘理町は震災後に移転し、新たに建てられた役場庁舎が浸水エリアに含まれました。

 今回の想定で県全体の浸水域の面積は391平方キロメートルと東日本大震災の1.2倍になりました。

 県は今回の想定を受け、沿岸自治体に新たなハザードマップや避難計画を策定するなど備えを求めています。