福島第一原発から出る放射性物質を含む処理水について、原子力規制委員会は処理水を海に流す東京電力の計画を了承しました。

 福島第一原発にたまり続ける処理水について、政府は基準を下回る濃度に薄めたうえで原発から1キロ先の海底から流す方針で、原子力規制委員会は東京電力が作った実施計画を審査してきました。

 規制委員会は、17日午前に開かれた定例会で審査書の案をとりまとめ、計画を了承し事実上の合格となりました。

 処理水の海洋放出を巡っては、宮城県内でも風評被害を懸念する声があり、漁業関係者などの理解をどう得ていくかが課題となっています。

 ホヤ漁師渡邉淳さん「今季はたぶん、水揚げは良いと思うんですけど、2023年に(処理水を)流したことによって、風評被害でまるっきり水揚げが無くなってしまうことを私たちは恐れている」

 特産である養殖ホヤは、11年前の原発事故により韓国などが禁輸にしたため、国内消費を広げることでようやく生産量が戻ってきました。

 処理水の放出は、せっかくの回復に水を差すものになりかねません。ホヤ漁師渡邉淳さん「できる限り私たちも水を流してほしくないっていうのは間違いなくあるんですけれども、流したとしても風評被害が出てしまった段階で政府がどういうような対応をしてもらえるかそれを私たちはすごく考えてますね」

 政府と東京電力は、2023年春の放出開始を目指し、地元自治体の同意を得たうえで本格的な工事に着手する方針です。