インターネットを使った選挙運動が解禁されて9年が経ちました。有権者の情報源は増えたものの、投票率に大きな変化は見られません。現状と課題を取材しました。

 ウェブサイトやSNS、政策動画のネット配信などインターネットを使った選挙運動は、2013年の参院選から解禁されました。 今回の参院選でも各陣営は様々ウェブ媒体を活用したネット選挙を展開しています。

 NHK党の中江友哉候補の陣営は、5人の中で最も多い6種類の媒体を使用。短い動画を作成し投稿できるティックトックも活用しています。

 自民党の桜井充候補、立憲民主党の小畑仁子候補、諸派のローレンス綾子候補の陣営は5種類、日本維新の会の平井みどり候補の陣営は3種類を活用し、動画投稿サイトなどは使用していません。

 ネット選挙やネット投票の研究を行う東北福祉大学の萩野寛雄教授は、現状を次のように分析しています。

 東北福祉大学萩野寛雄教授「ネット選挙ですと、既に関心を持っている層。選挙に行く層が情報を仕入れやすい、という意味では非常に充実したと思うんですけど、今まで選挙に行かなかった層を選挙に行かせるという点からみると、それほど効果はないんじゃないかなと」

 参院選の投票率の推移です。宮城県ではネット選挙が解禁された2013年以降、いずれも50%台の前半と大きな変化は見られません。

 特に若い世代の投票率が低く、20代はネット選挙が解禁された後も30%台の前半で推移しています。

 東北福祉大学萩野寛雄教授「ネットに出ている情報が、学生に直結するあす、あさってどのように変わっていくのかという風に特化された形で提供されていないと、学生さんは、自分たちに回ってくるというのがすぐは結びつかないみたいです」

 萩野教授は、若者の関心を高めるためにはSNSが持つ双方向性の強みを生かす必要があると話します。

 東北福祉大学萩野寛雄教授「長文で詳細に細かくテキストを並べるような投稿は、あまり読んでもらえないと思います。(候補者が)選択肢式の設問を出したりして、その声を元にして有権者側はコメントを付けていく、というような形ですと、見ている方も自分たちの声が反映されて、それを元にして有権者の実際の声が聞けるということで、参加意識も高まっていきます。(若者は)最初のスイッチを押さないことには次に行かないと思いますので、これは候補者や政治家が果たすべき責務だと思っております」

 萩野教授は、候補者が発信するSNSにはイメージ戦略の側面もあるため、有権者はテレビや新聞など複数の情報源に触れることも大切だと話していました。