先週の記録的な大雨で、宮城県松島町では高齢者等避難、そして避難指示という段階を踏まずに最高レベルの緊急安全確保を発令しました。当時、松島町で何があったのか、町の災害担当者を取材しました。

 16日午前7時30分ごろのJR松島駅前の様子です。冠水した道路にタクシーが誤って侵入し、身動きが取れなくなっていました。

 この時、松島駅前では1メートル以上冠水した道路もあったということです。

 松島町では、15日から降り続いた記録的な大雨の影響で、町内の道路の半分以上が冠水し、土産物店や住宅など約500戸で床下・床上浸水の被害が出ました。

 当時、町の災害担当の職員はここまで被害が拡大するとは想定していなかったということです。

 前田さつき記者「土砂災害警戒情報が出た午後10時30分に、町は災害対策本部を設置しました。町の職員によりますと、そこからわずか1時間ほどでこの辺り町の中心部など至る所が冠水していたということです。避難指示を出すレベルに達していましたが、避難所を開設できる状況ではなく、町の職員も身動きが取れなかったといいます」

 午後11時40分には気象庁から記録的短時間大雨情報が出されると、町の対策本部に町民から電話が殺到しました。

 松島町総務課蜂谷文也危機管理官「家が浸水してきた。土砂崩れが発生しているという電話が殺到した。これは災害が発生していると判断した。夜ということもあって、既に降り始めから道路が冠水している、これはもうレベル4(避難指示)を出すのが逆に危険だと肌身で感じた状況でした」

 町のマニュアルでは原則、高齢者等避難、避難指示、緊急安全確保という順番で避難情報を出すことになっていますが、午前2時4分、この段階を踏まずすぐに身の安全を確保してほしいと最高レベルの緊急安全確保を出しました。

 松島町総務課蜂谷文也危機管理官「マニュアルを超えた対応っていうのが、すごく難しさを感じたというところはありますね」

 この町の対応について、災害情報や避難行動が専門で、東北大学災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授は、適切で柔軟な対応だったと高く評価しています。

 東北大学災害科学国際研究所佐藤翔輔准教授「夜中の避難指示、夜の避難行動を促すのはとても危険と考えていますので、そこで臨機応変にレベル5の緊急安全確保を出されたのは非常に適切な対応だったと思う。必ずしも順番通りに出るものでもないんだということも住民に知って、把握して認識していただくことも大切ですし出す行政側も必ずしも順番通りに出さなくてもいいんだということも理解いただけると、住民も命が守りやすい状態になるのではないか」