赤字ローカル鉄道の見直しに向け、JR東日本は宮城県内の4つの路線を含む地方路線ごとの収支を初めて公表しました。

 陸羽東線の山間部では100円稼ぐのに8760円かかるなど、JR東日本は厳しい状況を示すことで今後の在り方の議論を加速させたい考えです。

 赤字ローカル線の収支は、JR東日本が記者会見し発表しました。

 公開の対象は、2019年度で1日1キロあたりの利用者が2000人に満たない区間です。

 JR東日本高岡崇執行役員「鉄道自体が維持することが極めて非効率、かつエネルギー的にも問題がある線区が実際ある」

 県内で公開の対象となったのは陸羽東線、大船渡線、気仙沼線の一部と石巻線です。

 各路線で100円を稼ぐのにどれだけの費用が掛かるかを示す営業係数が明らかになりました。

 陸羽東線の古川から鳴子温泉の間は、1043円、鳴子温泉から山形県の最上の間は8760円でした。

 鳴子温泉より西の山間部は全国的にみても厳しい採算で、事業コストの安いバスへの切り替えや、自治体や国の支援を仰ぐなど何らかの見直しは避けがたい状況です。

 陸羽東線の地元、大崎市の伊藤康志市長は危機感を募らせています。

 大崎市伊藤康志市長「これはもういらない、役目が終えた、他の手法でということは私は今、思っておりません。これをいかに残して、これをもっと活用していくかという視点で協議会に臨みたいと思っております。存続で臨んでいきたい」

 他の県内3つの路線の収支も厳しい数値でした。

 震災後にBRTと呼ばれるバスに一部が切り替わった気仙沼線と大船渡線は、鉄道として残っている区間の営業係数が示されました。

 気仙沼線の前谷地から柳津の間は2448円、大船渡線の気仙沼から岩手県の一ノ関の間は1009円でした。

 また、石巻線は全線で840円でした。

 赤字ローカル線を巡っては、国土交通省の検討会が25日に提言をまとめました。

 石巻線は1日1キロあたりの利用者が1000人を上回り、貨物列車も走っているため当面、見直し協議を国が促す対象にはならない公算が大きくなっています。

 JRが赤字ローカル線の収支を公表したことについて、村井知事は「JR、自治体及び国が一緒になって課題を解決していくことが重要」とコメントしています。