2021年2月の福島県沖地震で被災した企業への補助金の交付で、働きかけた見返りに企業から現金を受け取ったとして宮城県議会議員が逮捕された事件で、最後の交付対象を決める直前に報酬が渡されていたとみられることが分かりました。

 あっせん利得処罰法違反の疑いで逮捕された、宮城県議会議員の仁田和廣容疑者(72)と塩釜市の水産加工会社カネヨ山野辺水産の社長、山野辺文幹容疑者(61)の身柄は、28日に仙台地検に送られました。

 警察によりますと仁田容疑者は2022年1月、県議会庁舎でグループ補助金の審査を担当する県職員に「本会議で問題にする」などと言って補助金が受けられるよう働きかけ、口利きを依頼した山野辺容疑者から見返りに現金50万円を受け取った疑いが持たれています。

 現職の県議会議員の逮捕に、地元の有権者は驚きを隠せません。

 「水産業良くしていこうと気にしてくださっていたので、なおさら皆さんはなんでこんなことになったんだろうと」「我々の企業も福島沖地震で結構被害に遭いまして、補助金申請とか苦労して通らなかった話も聞いてますんでそれを議員の方を通すと通るようなことがあると残念です」

 県によりますと、2021年度のグループ補助金の最後の交付対象の決定は、2022年1月28日付でした。

 警察によりますと、仁田容疑者に報酬が渡されたのは直前の1月中旬とみられるということです。

 県によりますと、カネヨ山野辺水産は塩釜地域の水産加工業の関連事業者6社でつくるグループの代表として、補助金を受けるのに必要な事業計画を県に提出し、2021年7月に県から認可を受けましたが、カネヨ山野辺水産に補助金は交付されていません。

 県の担当者によりますと「捜査に影響が出るので事実関係については回答を控える」としています。

 警察は、2人の詳しいやりとりや仁田容疑者が依頼を受けた経緯などを調べています。 現職の県議会議員が逮捕されるのは2001年以来です。