重い心臓病を抱える1歳の女の子、あおちゃんについてです。助かる道は心臓移植のみ。海外での移植手術を希望していますが、円安による費用の高騰でそのハードルは高くなっています。子どもの臓器移植を取り巻く現状や両親の思いを取材しました。

 23日、仙台市泉区のユアテックスタジアムで行われたベガルタ仙台のイベントで、募金活動を行う東京都に住む佐藤昭一郎さんと妻で仙台市出身の清香さん。
 10月、1歳の誕生日を迎えたばかりの葵ちゃん。生まれて間もなく、心臓に穴が開いているのが見つかりました。これまでに4回手術をしましたが、心臓のポンプ機能が低下し全身に血液を送ることができなくなる、重症心不全と診断されました。
 葵ちゃんの母親・佐藤清香さん「本当だったら手術して回復していくはずが、毎日毎日悪いニュースみたいなのが出てくるので、本当につらいし、怖かったですね。先生の話を聞くのも怖かったです、毎日」

イベントで募金活動

 現在は、補助人工心臓とペースメーカーで命をつないでいますが、脳梗塞や感染症のリスクと常に隣り合わせの状態です。一刻も早い心臓移植が望まれる中、家族が決断したのは海外での移植です。
 葵ちゃんの父親・佐藤昭一郎さん「現状の日本ではあまりにもドナーさんが現れる頻度が少ない、可能性が少ないと」

 日本の100万人当たりの臓器提供数は0.62と、アメリカの68分の1、韓国と比べても14分の1と少ないのが現状です。また、国内で過去10年間に行われた10歳以下からの臓器提供は31件、6歳未満に限れば22件です。
 これに対し、心臓移植を待っている9歳以下の患者は今年9月末現在で43人います。待機期間が長期化し、重症化や合併症で亡くなるケースも少なくありません。

 両親は、アメリカ・コロンビア大学病院での移植を目指していますが、保険が適用されず高額な費用が必要になる上、急激な円安が追い打ちをかけています。手術費や入院費、専用チャーターでの渡航費などを合わせると、以前の1.5倍に当たる5億3000万円が必要と見込まれています。
 葵ちゃんの母親・佐藤清香さん「こういった形で世の中の皆さんにお願いすることに対して、考えるところ、迷うところはありましたが、親としてできることは葵を助けてほしいと皆さんにお願いすることだけですので。ギリギリできょうも生きてて良かったなという気持ちと、あしたどうなっちゃうんだろうという気持ちが入り混じった形で毎日生きてます」
 葵ちゃんの父親・佐藤昭一郎さん「いよいよ本当にできるのか、集められるのかというのが私は不安で、今でも不安ですけど。何もしないで待つより、とにかく行動起こさないと我々自身両親も後悔するというのもあるので、突き動かされてるというかやるしかないというか」

海外での移植を目指す

 両親の出身校である東北大学の恩師などが「あおちゃんを救う会」を発足させ、11月14日から募金活動を開始。2人が学生時代を送った仙台で支援を呼び掛けました。
 清香さん「母親です。ありがとうございます」
 募金した人「頑張ってください、少ないですけど」
 清香さん「助けていただいてありがとうございます」

 清香さんは、葵ちゃんが入院している埼玉県内の病院に泊まり込みで付き添う日々。葵ちゃんは、病室の外に出られませんが、毎日少しずつ成長しています。
 葵ちゃんの母親・佐藤清香さん「動きの面とかでもそうですし、情緒の面でもコミュニケーションが取れるようになってきたりとか感じます。だからなおのこと、普通の生活で外に出せたらもっといろんな楽しいことあるのに。やっぱり思っちゃいますねどうしても」

 都内の自宅で父親と暮らす長女も、大好きな妹の帰りを待っています。
 長女「お父さんとお母さんも大好きでしょ。お姉ちゃんも大好きだし、ずっと見てるから、お姉ちゃんね」
 葵ちゃんの父親・佐藤昭一郎さん「お母さんとあおちゃんにも会いたいっていうのは定期的に言うので、その言葉を聞くと本当に申し訳ないなっていうところがあるので、とにかく早く(移植を)と」

懸命に生きる小さな命

 一日一日を懸命に生きる小さな命。家族の願いは。
 葵ちゃんの母親・佐藤清香さん「ドナーさんと巡り合わせがあって移植手術ができて日本に帰ってきたら、望むことは本当に普通にご飯食べて一緒にお風呂入って並んで寝れたらもうそれで良いです」

 「あおちゃんを救う会」は3カ月を目標に費用を集めたいとしています。街頭募金のほか、銀行振り込みまたはクラウドファンディングで募金することができます。詳しい募金方法はホームページで確認できます。