旧優生保護法の下で不妊手術を強制されたとして宮城県の男性2人が国に賠償を求めた裁判で、仙台高裁は国に賠償を命じた一審の判決を支持し、国の控訴を棄却しました。

 宮城県に住む70代と80代の男性2人は、旧優生保護法の下で障害を理由として10代の時に不妊手術を強制されたとして、国に計6600万円の損害賠償を求めています。

 裁判では不法行為から20年が経つと損害賠償を請求する権利が消える除斥期間の適用が争点となっていて、一審の仙台地裁は旧優生保護法を違憲と判断し除斥期間の適用を認めず、国に計3300万円の賠償を命じる判決を出し、国が控訴していました。

 25日の判決で仙台高裁の小林久起裁判長は「国が長年障がい者への差別や偏見を正当化し、被害者が基本的人権の侵害を認識して裁判を起こすことを困難にしてきた」などと指摘し、そのうえで「国が賠償責任を免れることは正義・公平の理念に反する」として国に計3300万円の賠償を命じた一審の判決を支持し、国の控訴を棄却しました。

 原告弁護団によりますと、旧優生保護法をめぐる裁判はこれまでに全国で38人が訴えを起こしていて、高裁で国に賠償を命じる判決が下されるのは5例目です。

 原告千葉広和さん「やっとたどり着いたという気持ちです。勝訴を心からうれしく思います」

 原告Sさん「心からうれしかったです。待っていたかいがあったと思います」