宮城県の学校給の牛乳で児童生徒らが体調不良を訴えた問題について、専門家は牛乳に含まれるタンパク質を消化する過程でできる物質に、脳が反応したことが原因ではないかと推定しています。
食品化学に詳しい東北大学の齋藤忠夫名誉教授は、牛乳を飲んだ児童生徒約9万人のうち、体調不良を訴えたのは約1%であることやいずれも短時間で体調不良を起こしていることなどに注目しました。
推定される原因として、牛乳に含まれるタンパク質が分解される過程でできるアミノ酸のかたまり、ペプチドに過敏に反応することで体調不良を引き起こした可能性があると指摘します。
東北大学齋藤忠夫名誉教授「いわゆる脳腸相関という小腸の中の受容体にペプチドが感知された時に脳に伝わって、腹痛の原因となったり下痢になったのではないかと思います。牛乳に有害な物質が入っているわけではなく、消化の過程で特別に反応する人がいる」
なぜ特定の日に製造された牛乳だけに反応したのかは分からないとしたうえで、4月から5月にかけては酪農家が餌を切り替える時期に当たるため、季節や餌、飼い方の変化によって成分は変化すると話します。
東北大学齋藤忠夫名誉教授「生物産業が作り出す牛乳は、凸凹は日々あるということも消費者側は理解しなくてはいけない」
17日から宮城県の仙台市と多賀城市の給食で、牛乳の提供が再開されます。多賀城市では約1%に当たる児童生徒48人が牛乳を飲まないと選択したことが分かりました。
仙台市と多賀城市では、給食の牛乳提供再開に当たり、不安がある児童や生徒は給食の牛乳を飲まなくても良いとしています。
多賀城市では、午前9時までに全ての児童生徒約1%に当たる小学校で43人、中学校で5人の児童生徒計48人が牛乳を飲まないと、保護者が学校側に申し出たということです。
市の担当者は「想定よりも申し出は少なかった。牛乳自体に異常は無かったため、保護者の不安を取り除くことができたからではないか」と話しています。