東京証券取引所の元社員とその父親によるインサイダー取引事件で、東京地裁は親子にそれぞれ有罪判決を言い渡しました。

 東証の元社員・細道慶斗被告(27)は未公開情報を父親の正人被告(58)に伝えた罪に問われ、正人被告もその情報をもとに株を買い付けたとして起訴されています。

 先月、東京地裁で開かれた初公判で慶斗被告は「父親に喜んでもらいたいという気持ちが勝った」と話し、起訴内容を認めました。

 また、正人被告は「公開前には株を買わないと嘘をつき情報を聞き出した。すべて私が主導的にやったこと」「将来の不安もあり、お金を稼ぎたいという気持ちがあった」などと話しました。

 9日の判決で東京地裁は「証券市場の公平性や健全性を根底から揺さぶり、証券市場に対する投資家の信頼を甚だしく損ねるもの」と指摘しました。

 また、正人被告については「株取引で確実に利益を得ようとして犯行に及んだもので、浅ましく利己的な犯行動機は強い非難に値する」としています。

 そのうえで2人にそれぞれ懲役1年6カ月、執行猶予3年、罰金100万円の判決を言い渡しました。