政府が支援する官民ファンドが手掛ける案件のうち、投資額の回収に懸念のある案件が126件に上ることが分かりました。

 官民ファンドは政府と民間企業の共同出資で設立され、民間だけではリスクが高く、支援の判断が難しい事業への投資などを行っています。

 会計検査院によりますと、2023年度末時点で官民ファンドが支援する928の案件のうち167件が想定した計画の終了時期を過ぎていることが分かりました。

 このうち126件については投資先の企業の現在価値が支援した金額を下回り、その差額は合わせて約3873億円でした。

 会計検査院は「確定した損益ではない」としながらも「支援額の回収に懸念がある状況」だとして、これらの案件を手掛けるファンドに対して「回収額を最大化するために適切な措置を講じる必要がある」と指摘しています。

 インフラの海外展開を支援する官民ファンドの「JOIN」は、試算された資本コスト332億円を大幅に下回る20億円の利益しか見込めておらず、検査院は「一層の経営の改善」を求めています。

 JOINは20億円はあくまで途中段階の改善計画だとしたうえで、ファンドを「解散する時点では資本コストを上回る必要があることは認識している」と説明しています。