皇族数の確保に向けた、与野党の協議が大詰めを迎えていますが、意見に大きな隔たりがある論点も…。結論は得られるのでしょうか。(5月24日OA「サタデーステーション」)

■愛子さま 広がる活動の幅

25日の「全国植樹祭」のため埼玉県におひとりで訪問された天皇陛下。皇后雅子さまは行事が続いてお疲れのため、出席を見送られたといいます。視察先の茶畑では、ご自身で茶葉を摘まれる場面も。ポスターコンクールの入賞者と懇談され、「書くのは大変でしたか」と質問されました。

18日からの2日間、両陛下の長女・愛子さまは能登半島地震の被災地へ。公務での被災地訪問は今回が初めてで、被災者やボランティアなど多くの人と触れ合われました。

愛子さま「いかがですか?健康体操をされてみて」 仮設住宅入居者「最初はできなかったんですけど、毎週来ているので周りの人と仲良くさせていただいて楽しいです」

腰を落とし、目線を合わせながら声をかけられていました。

■女性皇族 結婚後も皇室に?

いま大詰めを迎えているのが、去年5月から始まった「皇族数の確保」のための与野党協議。背景にあるのは「皇族数の減少」です。1994年の皇室の人数は26人。平均年齢は40.3歳(※1994年末時点)でした。2025年現在、人数は16人で、平均年齢も58.2歳と上昇しています。

協議ではどのような議論が行われているのでしょうか。サタデーステーションでは、議事録をもとに2つの論点を整理しました。

1つ目が「女性皇族が結婚後も皇室に残る案」。現状の皇室典範だと、女性皇族は結婚後、皇室を離れることになりますが、「皇室に残るかどうか」を選択できるというものです。

去年社会人となり、公務を本格化された愛子さま。5月、国際会議では初めておことばを述べられ、大阪・関西万博を視察されました。2024年の単独公務は「2件」でしたが、すでに5月だけでその数を上回っています。11月にはラオスへの初の海外公式訪問も予定しています。

秋篠宮家の次女・佳子さまも約1年間で134件の公務を行うなど皇室の活動を支えられています。

皇室制度を研究する笠原名誉教授は―

慶應義塾大学 笠原英彦名誉教授 「次の世代は、悠仁親王殿下が1番若いですから、周囲に皇位継承資格者だけでなく皇族方もいらっしゃらなくなるということがやはり最も危惧される」

議事録では―

自民党 茂木敏充衆院議員(2024年5月17日全体会議議事録より) 「内親王、女王に婚姻後も皇族の身分を保持していただくことは、皇族数確保のために必要であると考えます」

各党はこの点について、おおむね合意しています。ただし、議論が難航しているのが「女性皇族の夫や子の身分をどうするか」。自民党などは、夫や子を皇族とすることで、母方が天皇の血筋を引く「女系天皇」に繋がるおそれがあるとして、「夫や子を皇族とすべきでない」と主張しています。

自民党 森山裕衆院議員(2025年4月17日全体会議議事録より) 「皇統に属さない男子が皇族となることはないという皇室の歴史、伝統は極めて重いものである」

一方で「夫や子も皇族とすべき」とする立憲民主党。1つの家族に皇族と一般国民の「2つの身分」が存在する問題点を指摘しています。

立憲民主党 野田佳彦衆院議員(2024年5月23日全体会議議事録より) 「(皇族とならない場合)配偶者は被選挙権もある。立候補できるし、政党だってつくれるわけですよね。職業選択の自由があるから、お子さんがタレントになったってそれは自由ですし、言論の自由があるから、いろいろとSNSで発信することもできるんですね。そういう家庭って想像できるのかと」

笠原名誉教授は―

慶應義塾大学 笠原英彦名誉教授 「生まれる子どものことを考えたときに、やはり母親は皇族だけれども父親は一般国民だという形が、子どもの将来とか教育の在り方ということに果たしてどう作用していくかが、なかなか想定できないということがあるのではないか」

■旧宮家の男系男子“養子案”も

2つ目の論点が「旧宮家の男系男子を養子として迎える案」です。1947年に皇室を離れた「十一宮家」には当時、皇位継承資格者は26人いたといいます。その子孫を養子として再び皇室に迎えるというのです。自民党は、15歳以上の独身男性が対象としています。

自民党 中曽根弘文参院議員(2025年3月10日全体会議議事録より) 「まず制度を決めておいて、その御意思があれば養子縁組を進めることとすべきという形であります」

しかし、現段階で養子に応じる人がどの程度いるのかは不透明です。

立憲民主党 馬淵澄夫衆院議員(2025年4月17日全体会議議事録より) 「(養子となる)意思をお持ちの方々がどれぐらいいらっしゃるかというのを確認するのは当然のことであります」

笠原名誉教授は、この案について―

慶應義塾大学 笠原英彦名誉教授 「皇族数の確保という点では、最後の1つの方法として考えてみる必要性はあるだとうと思いますけども。(養子)ご本人の負担というのはかなり大きいわけですから、将来こういうことをやりたいという希望を持っている人が、皇室に入って陰で支えるなんていうことを求めること自体、かなり厳しんじゃないか」