ハーバード大学の留学生受け入れ資格停止や予算の大幅な削減を伴う政府の効率化など、トランプ政権の政策がアメリカの弱体化を招きかねないという懸念が広がっています。

■エリートたたき・予算削減

トランプ大統領 「(Q.世界中の優秀な人材がハーバード大に来てほしいと思わない?)来てほしいがたくさんの学生には数学の補習が必要だ。2+2の足し算ができないのにハーバードにやってくる」

 名門ハーバード大学。今、アメリカの知の象徴が標的になっています。

トランプ大統領 「彼らは反ユダヤ主義者か何かだ。騒ぎを起こす問題児はいらない」

 留学生の受け入れを停止。在学中のおよそ6800人の留学生にも転校を命じ、年間およそ3200億円の助成金も凍結しました。

 大学側は猛反発。連邦地裁は差し止めの仮処分を出しましたが、攻撃は止まりません。

 コロンビア大学でも補助金が打ち切られ、180人の研究者が解雇されたと報じられています。

 トランプ流の「文化大革命」とも言えるこの政策。なぜ今、大学が標的になっているのでしょうか。

早稲田大学 中林美恵子教授 「ハーバード大学などはエリートをどんどん生み出している。その人たちはリベラルで、グローバリストである可能性が高い。そして新しい技術や社会通念を作りだしている」

 つまり、ただの教育政策ではなくアメリカの形を巡る政治的な攻防だといいます。

中林教授 「官僚組織、エリートたちについて排除することで、かつての良き古きアメリカを取り戻す、これがトランプ支持層に受けている」

 矛先は大学だけではありません。

 政府職員を200万人減らす「政府効率化省」。1兆ドルの支出削減を掲げる一方で、国家機能の弱体化を招くとの懸念も広がります。

■トランプ流“文化大革命”の行方

 さらに、外交の場でも波紋が…。南アフリカのラマポーザ大統領との会談。そこで突然、「白人が虐殺されている」と映像まで流して主張したのです。

トランプ大統領 「皆、殺されたのです」

ラマポーザ大統領 「どこの映像か説明を受けられましたか?」

トランプ大統領 「いいえ」

ラマポーザ大統領 「どこにあるのか教えていただきたい。私は見たことがありません」

トランプ大統領 「南アフリカにあるんだ」

 ロイター通信が検証したところ、虐殺したと主張した場所は別の国(コンゴ民主共和国)でした。白人迫害を訴え、支持層へアピールする狙いがあったとみられます。

中林教授 「トランプ大統領の白黒はっきりさせた行動に(支持層が)非常に胸のすく思いをしている可能性もあります。南アフリカの大統領が来た時には大きなアピールをするチャンスでもあったわけです」

 中国の文化大革命は知識人を標的にし、10年で国力を衰退させました。アメリカはどこへ向かうのでしょうか。

中林教授 「色んなことを自分の考えで実行できるということにトランプ氏は非常に憧れているところがある。大統領権限でどこまでアメリカを変えることができるのか?そこに挑戦し続けているのでは?」

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