自民党、公明党、立憲民主党の3党が合意した基礎年金の底上げを盛り込んだ年金改革法案について、日本維新の会と国民民主党は反対する方針です。遺族厚生年金を巡っては、1900万円減少する試算も出ています。
■「審議が不十分」維新・国民が修正案に反対
29日に自民党は年金修正案を、30日の衆院厚労委員会で質疑を行った後採決し、直ちに本会議にかけることを提案しました。しかし…。
国民民主党 古川元久代表代行 「先週、議論が始まったばかりの話。それをあすにも採決するような動きがあって、そういう国会の都合だけでやっていたら国民の皆さんがどうか」
日本維新の会 前原誠司共同代表 「厚生年金の積立金を流用して基礎年金の引き上げを図るということは、それは筋が違うんだろうということで、我々としては反対します」
国民民主党や維新の会などが「審議が不十分」だとして修正案に反対。30日の理事会で、改めて採決について協議することになりました。
■遺族厚生年金…社会保険労務士「改悪の方向に改正」
基礎年金の底上げばかりが注目される修正案。しかし、国民にとって気になることは他にもあります。
福岡資麿厚生労働大臣 「遺族年金の見直し」
「遺族厚生年金」とは、厚生年金に加入している会社員などが亡くなった際に、配偶者らに年金が支給される制度です。
現行の制度では、女性は夫が亡くなった時点で30歳未満なら5年間、30歳以上であれば生涯受け取れます。一方、男性は妻が亡くなった時点で55歳未満の場合は受け取ることができません。
福岡厚労大臣 「今回の法案では新たな加算の創設などのさまざまな配慮措置を講じつつ、男女ともに原則5年間の有期給付とする見直しを盛り込んでいる」
現在は共働き世帯が中心となり、就業率や賃金の男女差が縮小しているため、男女間の格差がある「遺族厚生年金」の見直しが必要だと説明しています。
見直し案では、男性も年齢にかかわらず受給できるようにし、男女とも配偶者が亡くなった時に60歳未満の場合は5年間の“期限付き”で給付する制度改正です。
このため今後、30歳以上の女性は生涯受け取れた年金が原則5年で打ち止めとなります。妻の受給期間の5年間への短縮は、20年かけて段階的に行うということです。
社会保険労務士 北村庄吾氏 「遺族年金のいわゆる減額、カットという意味合いが強いんじゃないか。改悪の方向に改正しているということで、制度の信頼性というのがなくなっていくんじゃないかと思う」
例えば55歳の夫婦で、亡くなった夫の月収が45万円だった場合、女性の平均寿命である87歳までの受給総額は現行の制度では2336万円であるのに対し、改正後は5年で打ち切られるため、総額は365万円にとどまります。
厚労省は期限付き給付に変更された場合、年金額の増額などを講じるとしていますが、この差がどれだけ縮まるのか現時点では分かっていません。
北村氏 「今まで、遺族年金がもらえることを前提に生命保険をかけている。遺族年金が少なくなった場合は生命保険の見直しも当然必要になってくるし、リタイア後の生活設計にも非常に影響が大きいんじゃないか」
(「グッド!モーニング」2025年5月30日放送分より)