7月に入り例年であればカツオが旬の時期を迎えますが、水揚げ量日本一を誇る宮城県気仙沼市では、記録的な不漁に陥っています。その背景にあるのが海流の変化です。
生鮮カツオの水揚げ28年連続日本一を誇る気仙沼市で1日から始まったのが、カツオの格安販売などが人気で毎年多くの人が訪れるカツオ祭りですが。
お魚いちば小野寺浩之事業部長「現状はごくわずかずつしか入ってません。水揚げになれば少々高くても店には並べるつもりでいますので、ただ例年の倍ぐらいの値段になっちゃうね」
鮮魚や水産加工品を扱うお魚いちばでは例年、この時期は棚いっぱいにカツオが並びますが平年の2割ほどです。
飲食店では例年、カツオのハラスやたたき、カツオ汁などを盛り込んだカツオづくし定食を提供していますが、まだ始められていません。
港町レストラン鮮堺えり子係長「生鮮カツオが上がった時は提供させていただいています。生鮮カツオが今よりももうちょっと水揚げがあって、気仙沼に活気が湧いてくることを望んでいます」
気仙沼漁協によりますと、今シーズンは6月末時点でカツオの水揚げ数量が128トンと、豊漁だった前年同時期と比べて3%ほどにとどまり、震災後では2019年に次いで2番目の不漁となっています。
漁業関係者によりますと、カツオ一本釣り船が例年6月中旬まで狙うビンナガマグロが比較的豊漁だった影響でカツオ漁の本格化が遅れていることに加え、カツオの群れ自体も少ないと見られています。
仲買人「厳しいですよ。船の人に聞いても、全然魚が見えないというのでそこですね」
第23長久丸石森優樹漁労長「カツオが元々群れが少ないというかほとんど見えない。ビンチョウを狙ってる感じです。カツオも入れば釣りたいんですけど」
不漁の原因について専門家は、カツオの資源数自体が年々減ってきていることに加えて、カツオを運ぶ黒潮の流れが変化したことが関係していると推測しています。
水産資源研究所青木良徳主任研究員「黒潮が本州から流れて来て本州より東に行く流れを黒潮続流と言うのですけど、黒潮続流が最近、北の方に偏って北偏と言うのですけど、続流が北偏していたというのが最近ありました。それ前年まであって続流北偏はあるんですけど、前年に比べたら弱い。カツオは熱帯・亜熱帯に産卵場があって、その一部が日本の近海まで北上してくるんですが、北上して来る量が少ない」
「おそらく7月中旬以降になったらカツオにとって暖かい水温が三陸沖にも広がってくるので、三陸沖も漁場になるんじゃないかと考えております」