米の価格高騰が日本酒造りにも影響を及ぼしています。酒米の価格が前年の1.7倍にもなり、宮城県の酒造会社の経営を直撃しています。
創業は江戸末期の文久元年(1861年)、160年を超える歴史を持つ石巻市の平孝酒造では代表銘柄、日高見の発送作業が行われていました。
平井孝浩社長は、過去に無い危機感を抱いています。
平井孝浩社長「業界自体、大変なピンチに陥ってきたなというのが今の正直な気持ちです」
ピンチの理由は、酒造りに使う酒米の高騰です。JA全農みやぎは、酒米を集荷する際に農家に前払いをする概算金について、蔵の華で1俵60キロ当たり2万8000円など軒並み引き上げました。
前年からの値上がり幅は約1.7倍で、これに流通経費が乗ることで、酒蔵が支払う仕入れ値は約2倍もの大幅増になると平井社長は話します。
平井孝浩社長「ダブルパンチどころではないという、そんな状況で」
精米に掛かる費用や酒米の運搬費用も円安の影響などで上昇し、複数のコスト増が同時に押し寄せているということです。
平井孝浩社長「やはりどうしても小売価格の方に、それぞれの蔵の規模によって価格改定という形で値上げは必至なのかなと思っています」
平孝酒造では、これまでは季節商品でしか値上げをしてきませんでした。
平井孝浩社長「いよいよ定番の商品の方も上げないと、コストが全く合わないという状況になってくるので、本来は2割くらい上げなくてはならないと思うんですけども、何とか1割以内で抑えたいなという気持ちではおります。収支は全く合わないですね」
平井社長は、日本酒造りという文化の危機だとも話します。
平孝酒造店平井孝浩社長「これが2、3年続いていくと、かなりの蔵元が減っていってしまうのではないのかなという。文化の担い手がこれからどんどん加速度的に減っていってしまうことに関して、非常に心配しているというところでございまして」