第219回臨時国会が10月21日に召集され、総理指名選挙が行われる。会期は58日間で、12月17日に閉会する予定。仮に高市早苗総裁が新たに総理に選出されれば、組閣初日から経済対策に着手する見通しとなっている。15日には、自民・公明・立憲の3党税制調査会長が協議を行い、ガソリン減税の原案作成で合意。今後、自民党が財源確保策の原案を提示する方針だ。高市総裁は「ガソリン・軽油の減税」に加え、「地方自治体への交付金拡充」や「経営難に苦しむ病院・介護施設への支援」を物価高対策の柱に掲げる。年内、すなわち12月17日の会期末までに物価対策を含む補正予算を成立させ、どこまで具体的成果を示せるかが最大の焦点となる。

前政権下では、国民民主党が「103万円の壁」の引き上げをめぐり与党と合意し、維新は教育無償化に関する協議を条件に、それぞれ補正予算案に賛成した経緯がある。今回も維新の協力は得たものの、与党単独での過半数には至らず、政権運営は引き続き流動的な様相を呈している。物価高対策をめぐる最大のハードルは「財源」だ。高市総裁は「税収余剰分の活用」を基本としながらも、「必要とあらば赤字国債の発行もやむを得ない」と言及。積極財政路線を鮮明にしている。

時事通信が10日から13日にかけて実施した世論調査では、高市氏が総理大臣に選出された場合、「内閣を支持する」43.8%、「支持しない」23.0%、「わからない」33.3%。岸田内閣発足時(2021年10月)の支持率40.3%、石破内閣(昨年10月)の28.0%を上回る水準で、憲政史上初となる女性総理の誕生に、一定の期待が集まっている様子がうかがえるという。高市総裁の後ろ盾である麻生太郎副総裁は、かつて総理在任中、解散の判断を先送りした結果、内閣支持率が急落し、自民党が歴史的な大敗を喫して政権を民主党に明け渡した苦い経験を持つ。この経緯を踏まえ、支持率が高いうちに、「先手の解散・総選挙」に踏み切る可能性はあるのか。高市総理が誕生した場合、与党が過半数を回復するための「解散・総選挙」も選択肢であることは否定できない。しかし、維新との連携によって「解散カード」が封印される可能性もある。

仮に解散を打つとしても、維新との選挙区調整は避けられない。前回衆院選では、小選挙区289議席のうち145で自民と維新が競合。このうち自民が65勝、維新が19勝し、そのうち16議席は大阪だった。10月17日には自民党大阪府連が鈴木幹事長と面会。松川るい自民党大阪府連会長代行は「私たちも東京一極集中を避けて、有事や災害時のバックアップ機能を大阪や他の都市に置く構想自体については賛成だが、自動的に大阪市を解体する「都構想」とはまた別物であるので、その点についてはご理解を頂きたい」と述べたうえで、「副首都構想」と、維新が大阪で掲げて来た「大阪都構想」は分けて考えるように要請し、大阪の自民・維新間の溝は依然として埋まらない現状が際立った。

★ゲスト:久江雅彦(共同通信特別編集委員)、林尚行(朝日新聞コンテンツ政策担当補佐役)、中北浩爾(中央大学法学部教授) ★アンカー: 杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)