26日投票の宮城県知事選挙には、過去最多に並ぶ現職と新人計5人が立候補しています。各候補が最も訴えたいことと、知事が築く長期政権の在り方についてです。

 村井嘉浩候補「今回の選挙は、保守が割れている初めての選挙です。今までは保守がまとまっていたが、それが割れました。勝つか負けるか分からない。でも、皆さんの力を結集すれば必ず当選する」
 6期目を目指す現職の村井候補の第一声には自民党の議員や宮城県の首長、経済団体の代表らが集まり、組織力を前面に出して指示を訴えました。

 和田政宗候補「変わらない県政ではなく変わる県政、変える県政へと共に変えてまいりましょう。わくわくする宮城県、活力ある宮城県に変えてまいりましょう」
 7月の参議院選挙に自民党から出馬し落選した元参議院議員の和田候補の第一声には、かつての同僚である自民党の杉田水脈元衆院議員や、政策協定を結んだ参政党の宮城県連幹部らも応援に駆け付けました。

 金山屯候補「少子高齢化の対策にウインズの誘致、私はこの仙台を日本のラスベガスにしたいんですよ」
 福島県で自然塾を主宰する金山は馬と競馬が大好きと言い、第一声では乗馬キャップをかぶりJR仙台駅前に場外馬券売り場の誘致という振興策を訴えました。

 遊佐美由紀候補「トップダウンの県政で県民の信頼が失われている。今こそ1人1人の声が大切にされる県政が求められているのではないでしょうか」
 宮城県議会議員を8期務めた遊佐候補は、自民党出身の村井候補と1995年当選の県議同期です。宮城県の国政選挙で野党共闘を積み重ねてきた、立憲民主党と共産党の議員と組織が選挙戦を支えています。

 伊藤修人候補「どんな地域で暮らしていてもどんな親の元に生まれても、同じような状況で育っていくことができる。そのためには地域への投資が必要です」
 元角田市職員の伊藤候補は、暮らしている丸森町を中心に県南部で草の根選挙を展開します。組織を持たないため、ポスター貼りや選挙カーの運転も1人でこなします。

 5人の候補者に、今回の宮城県知事選挙で最も訴えたいことを聞きました。

 村井嘉浩候補「これから人口減少が進んでまいります。デジタル技術で労働力不足を補うことは可能だと思います。中小企業や色々な団体に使えるように、普及できるようにですね情報提供するとともに、財政的支援も一緒に考えていきたいなと思っています」

 和田政宗候補「宮城県のお子さんがどんどん少なくなっていくというような状況を、転換しなければならないと思ってます。このままですと宮城県の活力が失われてしまいますので出産育児費用の完全無償化、無料化というものをですね県政トップになって実現をしていきたい」

 金山屯候補「(多賀城市への)遷都、皇室典範の改正、それにもう1つ加えて少子高齢化の対策・対応、その3点を重点的に。選挙公報にも全部書いてありますので。書いたりしゃべったり」

 遊佐美由紀候補「新・福祉立県みやぎ。福祉を県政の土台にする。これがないがしろにされている。まずは安心を土台に、力にしたい。5期20年で県民の声が不在のトップダウンの県政から、県民の声に耳を傾けるボトムアップの県政に変えていく」

 伊藤修人候補「自動運転、AIだとか新しいテクノロジーを地域でも導入できる環境をつくっていく。行政がその分野に投資をしていくことで、地域でも都市部と変わらない生活を送っていける。そういった環境を整えていくことで地域で持続可能な生活、地域間格差を埋めていく」

 各候補の訴えはそれぞれですが、地方政治や選挙に詳しい拓殖大学の河村和徳教授は、今回の最大の争点は5期20年という長期にわたった村井知事の業績の評価だと言います。
 村井県政の継続か刷新か。選挙戦は現職の村井知事を中心に展開され、新人の候補たちは新知事として何ができるか期待感が求められます。

 5人が争う知事の席は直接選挙で選ばれるため、その地位は政局に左右される総理大臣よりも安定していると言われています。与えられた権限も大きく、各分野に専門の大臣を置いている総理大臣と違い、あらゆる分野を直轄し1人で政策を決めることもできてしまいます。

 鳥取県の平井伸治知事は、村井宮城県知事と同じく現在5期目です。長期政権を築いていますが、知事の役割はコーディネーターだと言います。
 平井鳥取県知事「(知事には)権限があると思われるが、責任はもっと重い。それを果たしていくのは、なかなか大変です。コーディネーターとかあるいは提案者、そして皆さんと一緒に行動していく行動者、こういうものが組み合わさったのが知事という仕組みだと思う」

 村井知事と同じく6期目への挑戦をするか注目されている平井知事。
 平井鳥取県知事「県民が決めることだと思います。どれぐらいやれとか、もうそろそろいいじゃない、それを感じながら知事をやっている者は動いていくものだと思う。そういう倫理を持ちながら、(村井知事は)今新しい挑戦をしていると思う」
 Q.「6期目立候補しますか?」
 平井鳥取県知事「あっ、私ですか。いつでも引く用意はあるといつも言って歩いています。県民の1つの道具として仕事をしていると思っています。道具がもうくたびれてきて、いらないとなれば喜んで引いていく」