ガザ地区の和平合意を巡り、イスラム組織ハマスのリーダーがANNの単独取材に応じ、「復興に向けた議論が近く始まる」と明らかにしました。

ハマスリーダー ワリード・アルキラニー氏 「今後、数日の間に復興に向けたロードマップを策定する試みが実施される。この計画が成功し、実行への道筋が見つかることを期待している」

 ハマスのリーダーで和平協議にも詳しいワリード氏は、和平合意の「第2段階」に向けた協議が近く始まると示唆しました。

 ただ、イスラエルの攻撃で人質を管理してきた担当者が死亡し、「第1段階」で定めた遺体の返還には時間がかかるとの認識も示しました。

ハマスリーダー ワリード・アルキラニー氏 「ハマスと民間防衛隊は、がれきを除去し、遺体を収容するために重機を必要としている。また、一部の地域は攻撃で様変わりしていて、現地の特徴も変わってしまったため、時間が必要だ」

 「第2段階」で焦点となっているハマスの武装解除については、イスラエル軍の占領が続く限りは実現しないとの考えを示しました。

 ハマスの指導者らは今後もガザ地区にとどまる一方で、戦後の統治には関わらないとしています。

ハマスリーダー ワリード・アルキラニー氏 「第2段階の問題の多くは、ハマスの在り方やガザ地区を誰が統治するかなど国家的な問題だ。パレスチナ国民全体に関わるもので、ハマス単体の決定でなく、パレスチナ人全体の合意が必要だ」

 ワリード氏は和平合意が実現して以降、イスラエル側の違反が40件以上確認されたとしています。

 19日にもイスラエル軍がガザ地区南部で襲撃を受けたとして、空爆を実施しています。

 さらに、ガザ地区ではハマスと対立する民兵組織との争いも激しさを増しているといいます。

ハマスリーダー ワリード・アルキラニー氏 「抑止力のため(民兵組織の)公開処刑が実施されたが、ガザの住民に与えた被害を考慮して人々は私たちを支持した」

 ワリード氏は、イスラエル軍が民兵組織に物資や武器を与えるなど、協力していると語りました。

 さらに、来年に選挙を控えるイスラエルのネタニヤフ首相が強硬手段に出ることも想定しているとしています。

ハマスリーダー ワリード・アルキラニー氏 「もしイスラエルとネタニヤフ首相がガザでの合意によって追い詰められれば、レバノン、イラン、イエメン、シリアなど他の戦線を開く方向に転じるかもしれない」