■紅葉ピーク 日光に“異変”

 3日、初冠雪を観測した栃木・男体山。

 冬に向かう3連休最終日。関東もクマへの警戒が高まっています。

 木々が日を追うごとに赤く染まる、日光いろは坂。紅葉がピークを迎えた観光地も“クマによる異変”が起きていました。

群馬からの観光客 「全然進まないから大変」

 明智平展望台を目指すロープウェー。東京地方でも木枯らし1号が吹いた列島。こちらもあいにく強風のため運転中止に。

 対応に追われるのは、天気だけではありません。“クマ対策”で大きく変わったポイントがありました。

 本来ならロープウェーで上り、歩いて降りてくるコースが人気ですが…。先月も展望台周辺で目撃情報があり、徒歩での下山は危険なため片道切符の販売を中止しました。

名古屋からの観光客 「クマ怖い。(ロープウェーから)降りたくない。ロープウェーでいい景色見られるなら安心、さすがにクマも来ない」

東京からの観光客 「出てるんですか?ここに?」 「人がいっぱいいるので大丈夫かなと」

 去年、中禅寺湖で撮られた映像。湖に入るクマの姿が見えます。

 去年、相次いでクマが目撃されていた日光。先月も4件の目撃情報が寄せられています。

 中禅寺湖も赤や黄色の木々が湖畔を彩ります。行楽シーズンを迎えたここも例年通りとはいきません。クマよけの鈴を付けながらの紅葉鑑賞です。

宇都宮市から来た人 「中禅寺湖一周しようかなと思ってきょう来ました」 「(Q.クマ鈴付けている?)そうですね」 「(Q.スプレーも持っている?)持ってきている」 「北海道のクマの事故があったが、そこにちょうど行っていた人がいた。結構身近なことだなと思って対策するようにしています」

龍頭之茶屋 室根靖史代表 「(客から)クマ鈴ありますかって話ももちろんあるし、本当にクマ大丈夫なのかみたいな話はされる。国とかがきちんと積極的に対処してくれるとありがたい」

■「クマなし県」に観光客殺到

 各地でクマへの警戒感が高まるなか、“本州唯一”のクマ知らずの県がありました。それが、千葉県です。

 名所・鋸山では、ハイキング客からクマ鈴の音は聞こえず、クマ注意の看板も見当たりません。

 標高329メートルの頂上。ここにもクマの影すらありません。

神奈川からの観光客 「めっちゃきれい。富士山も見えて。親は子どもを危ない場所に行かせたくない。(クマが出ず)めちゃくちゃ良い場所」

 専門家も…。

石川県立大学 大井徹特任教授 「千葉県は本州で唯一、クマが生息していない県。過去にさかのぼっても化石なども発見されていない」

 ここ十数年のクマの捕獲数も、本州で千葉県だけゼロです。

 竹林の中にドーム型のテントが並んでいます。3連休、予約でいっぱいだったそうです。緑に囲まれて過ごしてもクマの心配がいらないのも、宿泊客の安心感につながっています。

客 「知人に『千葉に遊びに行く』と話をしたら、『千葉県だけクマがいないらしい』と。『そうなんだ』と思い、安心した」

ザ・バンブーフォレスト 柄木田輝マネージャー 「この地域で『クマが出た』という情報は聞いたことがない。大自然でも安心して過ごせる地域」

■本州唯一 千葉なぜ安心?

 では、なぜ千葉にはクマがいないのでしょうか。

石川県立大学 大井徹特任教授 「主な原因は地形にあると考えられる。他のクマ生息地から房総半島までの移動はかなり困難」

 千葉県は県境を江戸川と利根川に囲まれ、クマの生息地と遮断されています。仮にクマが川を渡ったとしても、標高の高い山はかなり南にあるため、街を越えなければなりません。

石川県立大学 大井徹特任教授 「房総半島の東側、南側、西側は海です。孤立した状態になっていて、今後も房総半島でクマが生息する可能性はかなり低い」