老老介護の末に東京・国立市の住宅で102歳の母親を殺害した罪に問われている71歳の女に、東京地裁立川支部は懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。

 小峰陽子被告(71)は去年7月、当時102歳の母親・小峰フクさんの首をひもで絞めつけるなどして殺害した罪に問われています。

 17日の判決で東京地裁立川支部は小峰被告がフクさんの首を絞めた後、さらに包丁で刺したことについて、「確実に殺害するための危険性の高い行動」と指摘しました。

 一方で、「介護負担は決して軽いものではなかったとみるべきである」「被告の対応能力を超えたことで起きた事件とみるべき」と12年にわたり小峰被告がほぼ1人で介護をしてきたことは軽視できないとしました。

 そのうえで、検察側の懲役8年の求刑に対し、懲役3年、執行猶予5年、保護観察の付いた判決を言い渡しました。

 最後に裁判長が「判決は以上です、だいたい中身は分かりましたか?」と問い掛けると、小峰被告は「はい、分かりました」と答えました。

【裁判の経過被告「殺すしかない…」】

 小峰被告は初公判で起訴内容を認めました。

 被告人質問では「世の中に自分1人しかいなくて、助けてもらう人が思いつかなかった。自分1人でどうにかしないといけないと思い詰めて殺すしかないと思ってしまった」と話しました。

 また、後悔はないのか問われると、「後悔というのはないんです。あの時はああするしかなかったので、後悔はありません」と述べました。

 その一方で、「病気や老衰など普通の死に方をさせてあげたかった。娘に殺されるという乱暴な死に方をさせてしまい申し訳なかった」とも話しました。

 検察側は「フクさんによる暴言や暴力はなく、介護疲れによる事案とは一線を画する」と指摘して懲役8年を求刑しました。

 一方、弁護側は「長期にわたる介護で疲弊し、冷静な判断ができなかった衝動的な犯行」だとして懲役3年、執行猶予5年が相当と主張していました。