日中関係の悪化が止まりません。中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射に対して日本は厳重な抗議をしましたが、中国は正反対の発表をして反発する深刻な事態となっています。

■空母「遼寧」演習中

高市早苗総理大臣 「今回のレーダー照射は航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為です。このような事案が発生したことは極めて残念です。冷静かつ毅然と対応して参ります」

 問題が発生したのは6日。午後4時32分ごろと午後6時37分ごろの2回です。

 防衛省によると、中国海軍の空母「遼寧」が沖縄本島と宮古島の間を南下して太平洋へ航行。その後、戦闘機やヘリコプターの発着訓練を実施しました。

 自衛隊は那覇基地から戦闘機を緊急発進。その中で中国軍の「J15」戦闘機が航空自衛隊の「F15」戦闘機に対してレーダー照射を断続的に行ったということです。

自衛隊 元統合幕僚長 河野克俊さん 「レーダーが照射されたということは、射撃の体制に入る前段階の行為を中国側が行ったということで、非常に危険性のある行為ですね。あとは引き金を引けば、ミサイルや弾が飛んでいく寸前」

 レーダー照射は過去にも起きています。2013年に沖縄県の尖閣諸島周辺で、中国海軍の「フリゲート艦」から海上自衛隊のヘリコプターや護衛艦に対して。2018年には能登半島沖で、韓国の駆逐艦から海上自衛隊の哨戒機に対してレーダー照射を行いました。

 今回は、戦闘機から戦闘機への照射です。

「戦闘機と戦闘機ですからね。一瞬にして距離感が圧倒的に縮まりますので、大事に至る可能性さえあった危険な事案だと思います」

■正反対の発表「世論ミスリード」

 気になるのは、どのレベルからの指示によるものなのかという点です。

防衛省関係者 「現場の忖度(そんたく)、暴走かと思われます。それぞれの忠誠心というか、成果のアピールのように現場が動いているように感じます」

 中国側の説明は…。

「自衛隊機が複数回接近し、妨害行為を行った」

 7日、オーストラリアのマールズ国防相と都内で会談した小泉進次郎防衛大臣はこう述べました。

「日豪は法の支配に基づく秩序を重視し、このような中国の行動に対して、毅然かつ冷静に地域の平和と安定に向けた対応を進めていきます」

 オーストラリアのマールズ国防相もこう話しました。

「私たちはこの24時間に起きた中国の動向について、深い懸念を抱いています。引き続き日本と連携して取り組み、日本に寄り添います」

 外務省の船越事務次官は7日、中国の呉江浩駐日大使を呼び出し、強く抗議したうえで再発防止を厳重に求めました。

 一方、中国側は呼び出された立場にもかかわらず、大使が外務次官に抗議したと日本とは正反対の発表をしました。

 「中国を非難して世論をミスリードし、極めて無責任だ」と、ここでも情報戦を展開しています。

(「グッド!モーニング」2025年12月8日放送分より)