東日本大震災で巨大津波を引き起こした断層のすべりについて、断層の境界に広がる滑りやすい粘土層に地震の力が集中したことが原因だったことが国際研究チームの調査で分かりました。
調査は2024年、海洋研究開発機構や筑波大学などが加わる国際研究チームが地球深部探査船ちきゅうを使い、宮城県沖にある東日本大震災の震源域約7000メートルの海底を掘削しました。
津波を発生させた断層の巨大なすべりに滑りやすい粘土鉱物が関係したことは、これまでの調査で分かっていましたが調査は1地点のみで全体像は明らかになっていませんでした。
今回、複数の地点で掘削調査を行ったところ滑りやすい粘土鉱物は1センチにも満たない薄い層で、断層の境界に広がっていることが分かりました。
この粘土層に地震の強いエネルギーが集中して、巨大な断層のすべりが発生したことが明らかになりました。
海洋研究開発機構の奥田花也研究員は「日本海溝の他の研究成果と合わせ、巨大地震が発生する仕組みの解明につなげたい」と話しています。