延焼が続く岩手の山林火災です。なぜ消火活動は難航しているのか。専門家が指摘する「地形の壁」を取材しました。

■消火活動“最前線”はいま

 消防団の許可を得て、消火活動の最前線を取材しました。

 24日朝、消火活動を行っていたのは安渡地区。すぐそばには住宅街もある大槌町の中心部です。

 強まった風が消火活動を阻みます。取材中にも…。

大槌町消防団員 「きのうより吹いているかなと思う。また風が吹けば火の粉が飛んだりする。あれとか、もう火が…」

 消火した木に火の粉が飛び、再び火が付きます。

 岩手県大槌町の山火事発生から3日目。日ごと火は拡大しています。

 23日の夜時点で430ヘクタールだった焼失面積は一晩で1000ヘクタールを超え、およそ2.7倍に広がったことが分かりました。

 今後、火災はどうなっていくのでしょうか。

■何が?消火阻む「地形の壁」

 大槌町に詳しい防災の専門家に話を聞きました。

元東京消防庁 レスキュー隊 隊長 幾田雅明さん 「ここは震災直後、皆さんが避難した場所。案内されて、ここから下を見た」

 元東京消防庁の幾田雅明さん。東日本大震災の際には震災後1年間、大槌町で活動した経験があります。

 幾田さんは、さらなる燃え広がりを懸念します。

幾田さん 「木の間に白く上がっている。これから燃え広がっていく可能性がある。どんどん(こちら側に)延焼しているのが考えられる」

 燃え方について、幾田さんが指摘するのは、大槌町特有の地形的な要因です。

幾田さん 「リアス式海岸で入り組んでいる。障害物があれば風向き変わる、場所によっては(風が)回る」

 沿岸からの風と障害物の多い地形が火の燃え広がり方に影響を及ぼしているといいます。

 さらに厄介なのが北風の存在です。

 この地域では、北からの風は山から市街地へと吹き下ろす風になります。

幾田さん 「普通は下から上に燃えていくのが火事の燃え方。上から下へ、山頂から下の方に燃え広がっていくというのはまさに風が影響している」

 23日、取材班もその様子を現場で捉えていました。

 23日から24日にかけての延焼範囲を見てみると、火の勢いは山林の中心から人里のある裾野へと確実に広がっています。

 風は消火活動にも影響を及ぼしています。

幾田さん 「この風でせっかく放水しても、よほどの圧力じゃないと皆飛ばされて効果がないのかなと思う」

 今後、懸念されるのは、火の手を内陸へと進めかねない風です。

幾田さん 「(Q.どの方角からの風が一番危険か?)やはり東(海側)から来る風、右から、どんどん山の奥へ広がっていく」

 震災2カ月後から大槌町に入り、復興の様子も目にしてきた幾田さん。

幾田さん 「立ち直っていく姿を見守っていきたいなとずっと震災直後から考えていた。複雑な気持ちですね」