禁錮5年の実刑判決を言い渡された時、桂田被告は無表情のままだったといいます。乗客の家族は「短すぎる」と、胸の内を語りました。

■桂田被告に禁錮5年 乗客家族の思い

事故で息子が行方不明 「うちの息子は34歳6カ月でその後の人生を絶たれた。それ以降の人生を歩いてもらいたかったし、私も命が続く限りは見届けたかった。そうですね…上限いっぱいの判決が下った安堵(あんど)感と、以前から思っていたが、5年は短すぎるという悲しい気持ちの両面」

 禁固5年。その判決が言い渡された時、桂田精一被告は小さく息を吐いたといいます。

事故で息子が行方不明 「ずっと見ていたが、変わらない表情をしていた。もうちょっと変化があるかと思ったが、残念な気持ちになった。覚悟していたのかもしれない」

 2022年4月23日午前10時に、観光船「KAZU1」は乗客24人を乗せ、斜里町・ウトロ港を出港します。この時、強風注意報が発表されていました。

 その後、不具合があったハッチから海水が大量に入り、「KAZU1」は沈没しました。

 乗客・乗員20人が亡くなり、6人が行方不明になっています。

桂田精一被告 「この度はお騒がせしまして大変申し訳ございませんでした。今となればこのような事故を起こしてしまったので、判断的には間違ったと感じている」

 裁判で桂田被告は、一貫して無罪を主張します。

桂田精一被告 「どんどん天気がずれたので、当時は午前中にまでに戻ることができれば大丈夫だと判断してしまいました」

 弁護側は、原因は天候ではなくハッチが完全に閉まらなかった不具合だったとして、「事故は予見できなかった」と主張しました。

 それに対し検察側は、悪天候が予想され乗客が死傷する恐れはあったとして、業務上過失致死罪の上限である禁錮5年を求刑しました。

 今月17日の判決で釧路地裁は…。

釧路地裁 「本件事故は航行中の強風および高波により、安全な航行に支障をきたしたことによって生じた事故であるということができる」

 事故は予見できる可能性があり、運航中止の指示をするべきだったなどと検察側の主張を認め、求刑通りの禁錮5年の判決を言い渡しました。

亀井正貴弁護士 「裁判所としても出しうる限り重い判決を出した。大きいのは結果の重大性」

 今回の判決について亀井弁護士は、事故の結果を重く受け止めたため、法定刑の上限になったとしています。

亀井正貴弁護士 「死者・行方不明者が多く、結果が重大であるということ。寒いなかで船の沈没、溺死(できし)という悲惨な状況下で死亡するに至った精神的苦痛、家族の精神的苦痛も甚大である。安全管理よりも、経営を優先させてきたこれまでの経営方針やその表れが本件であるという点」

■「見合わない」乗客家族の思い

 乗客の家族は、様々な思いで判決を受け止めていました。

亡くなった乗客の父親 「どれだけ無念のなかで命を落としていったのかと考えた時に、『上限の数字を勝ち取れたよ』というのは息子に報告したい。どんな刑が出ても息子が帰ってくることはないが、それなりに納得できると思う」

事故で家族が行方不明 「有罪となってほっとしている。よかったと思っていますけど、その反面、今回の事件では26人の命の重さには見合わないのかな」

 桂田被告は判決を受けてコメントを発表しています。

桂田精一被告 「令和4年4月23日に発生した当社運航船舶の事故により、多くの乗客の方、船員が亡くなられたこと、また依然として行方不明の方々もおられることについては、法人代表者としてこれからも謝罪と償いを続けていく所存です」

 桂田被告側は、判決を不服として控訴しました。

※「KAZU1(ワン)」は正しくはローマ数字