東日本再震災から15年余り、宮城県南三陸町で水産加工業を営む男性と漁師たちが町の復興を自分たちの世代が担っていこうと食品ブランドを立ち上げました。

 山内淳平さん「海バターのムール貝という商品で、次世代南三陸の初めての商品になります」
 次世代南三陸は、宮城県南三陸町で水産加工業を営む山内淳平さん(43)が、地元の若手漁師たちと立ち上げた食品ブランドです。
 山内淳平さん「南三陸町で頑張っている若手の生産者さんたちと一緒に商品を作るということをコンセプトにして、物も売るけど事も売るよという方にフォーカスした商品になります」

 第1弾の商品は、3月に発売した南三陸産のカキとムール貝を使ったバターです。
 山内淳平さん「すごく大きい反響をいただいていまして、関東に行くとかなりの本数売れますし、関東で大規模に販売しているスーパーさんとかにも導入いただいています」

 瓶の上のある小さな本を開くと、南三陸町の若手生産者の顔写真が並びます。次世代を担う加工業者や漁師たちが手を取り、商品を生み出していこうというコンセプトが表現されています。
 山内淳平さん「面白い事をやっている人たちがたくさんいるので、ゆくゆくは南三陸町のブランドになったら面白いかな」

 新たなブランドを立ち上げた背景には、山内さんが抱く故郷への思いがありました。
 山内淳平さん「多分ここら辺とかなんですよね。ここら辺に多分お店があったと思います。ちょっともう定かではないんですけど」

 南三陸町で生まれ育った山内さんは、東日本大震災の津波により地元で60年以上親しまれてきた実家の鮮魚店が流されてしまいました。当時は20代で同世代の仲間と復興青年団を立ち上げ、町の再建に力を尽くしてきました。
 山内淳平さん「震災当時は復興のための活動に参加してたけど、何かをやれている実感は無くて若いから呼ばれているんだろうなとか、でも自分たちが前に進めているという感覚は僕には正直あまり無くて」

 まだ若く信頼も実績もない自分がどうしたら故郷の力になれるのか悩みながらも、水産加工業を15年続け、歳を重ね会社でも役割を得て自分の思いを実現できる立場になりました。

 山内さんの願いは、かつてのような活気ある故郷です。南三陸町の人口は20年前に比べ4割も減り、水産業に関わる人の数も減少しています。
 山内淳平さん「何もしないってことも多分できる。僕はこの町で育ってよかったと思うので、自分たちの子どもにもそう感じてほしい」

 故郷のために挑戦が始まりました。この日は次世代南三陸が発売する第2弾の商品の試作会が開催され、山内さんと一緒にブランドを立ち上げた漁師の阿部和也さんと佐藤将人さんも一緒です。

 佐藤さんが生産する南三陸産のギンザケを使ったバターの生産を目指します。試作品をいくつか食べ比べ、意見を出し合います。阿部さんと佐藤さんは数年前、南三陸町にUターンし家業を継いで漁師となりました。次世代南三陸は、阿部さんが名付けました。
 阿部和也さん「町自体は復興しているけど、どうしても震災のイメージが根強いというかそういうイメージもまだある。これからという意味で震災を乗り越えて、次世代の生産者とか次世代の活躍する若い世代がちゃんと南三陸町で育ってますよとメッセージを外に向けて発信したいなと思って」

 若い世代の活躍や頑張りを発信することで、同じ世代にも興味を持ってほしいとの思いを次世代という言葉に込めました。阿部さんは、山内さんと共に取り組むことで、気づきがあったと言います。
 阿部和也さん「山内さんと一緒にやることで、僕自身も商品に対して深堀りできた。より安心安全でおいしいということをお客さんに伝えられるようになった。すごいありがたいプロジェクトだと思う」

 佐藤さんは漁師をしながら、料理人としてレシピも監修しています。
 佐藤将人さん「小さい町で人口もいないですけど、仲間が一緒にいてやれてるっていうことがいいので、関係性を継続しながら町を盛り上げていけたらと思います」

 山内淳平さん「誠実に自然と食材と向き合っている会社とか漁師さんとか生産者さんたちがいるよということを、とにかくみんなに知ってもらいたい。そういうものを表現して、たくさんの人に届けられたらということがすごく強いですね」