各地で豪雨被害が相次いで発生しています。災害から私たちの命を守るために必要な避難行動は、いつどのタイミングで取るべきなのでしょうか。判断の後押しとなるよう気象庁が発表している防災情報が、キキクルです。災害が発生した際にキキクルがどのように表示されていたかを確認して活用方法を考えます。
梅雨前線や台風の影響で、2026年も全国各地で大雨による被害が相次いでいます。河川氾濫の危険性も高まり流域の住民に一時、避難指示が出されるケースもありました。こうした大雨による被害を防ぐため、気象庁がホームページでキキクルを公開しています。
災害の危機が来ることを示す危険度分布です。キキクルは土砂災害、浸水、洪水の3つの災害について、危険度の高まりを1キロ四方ごとに色で示しています。情報は10分ごとに更新されます。
黄色は警戒レベル2相当の注意、赤はレベル3相当の警戒を示します。紫は危険の段階で、2026年に新たに導入されたレベル4危険警報に相当します。この段階で危険な場所にいる人は、全員避難が必要となります。更に危険度の高い黒はレベル5相当の災害切迫で、既に災害が発生していてもおかしくない状況です。
仙台管区気象台予報課齊藤伸次防災予報官「自治体のレベル4避難指示の前の段階でキキクルで紫が出たら、是非自主的に避難行動に結びつけてもらえればと思っています」
宮城県で19人が亡くなるなど甚大な被害をもたらした、2019年の台風19号で最も被害が大きかった丸森町では、土砂災害や河川の氾濫などに見舞われました。子安地区では145件の土砂崩れが発生して11人が亡くなり、1人が行方不明となりました。
当時気象庁が発表していた現在のキキクルに当たる危険度分布を、土砂災害が発生する前の時刻までさかのぼって見ていきます。
土砂崩れは10月12日午後9時ごろに確認されていますが、10月12日正午ごろにはほぼ全域が黄色に、そして午後2時すぎから一気に赤色に変わり始めます。更に午後3時半には危険を示す紫色が出始め、午後5時半ごろには全域が当時の基準で最も危険度が高い濃い紫となりました。
この段階で避難が完了すれば間に合ったということになります。災害発生前に、危険を知らせるサインは既に現れていました。ただし、色が赤や紫になったからといってもそのエリア住民全員の避難が必要というわけではありません。急傾斜地の近くや土石流の恐れがある渓流など、土砂災害警戒区域にいる場合に避難が必要になります。自分がいる場所が土砂災害警戒区域かどうかはハザードマップで確認できます。キキクルからもアクセスが可能で、危険箇所は黄色や赤で示されています。
丸森町では2019年の台風19号で、内川など中小河川の流域で18カ所の堤防が決壊したほか、雉子尾川でも越水し住宅地に水が流れ込みました。この時の洪水の情報を見てみます。氾濫が発生したとされるのは、大雨となった10月12日深夜ですが、半日ほど前には内川と雉子尾川が黄色に、午後3時には雉子尾川が赤色になっています。
午後4時ごろには中小河川はほぼ全て赤色になり午後5時には紫色、午後8時すぎには最も危険度が高い濃い紫となりました。赤や、遅くとも紫のタイミングでの避難が重要だったことが分かります。
注意報や警報などと比べ、よりピンポイントで危険度を可視化しているキキクルですが、まだ認知度は高くありません。気象庁が2025年10月にキキクルについて調査したところ「どのような情報か知っている」と答えた人はわずか16%だった一方で「見聞きしたことがない」と答えた人は61%に上りました。
仙台管区気象台予報課齊藤伸次防災予報官「Xを使ったり様々なツールを利用して気象台も積極的に自主的に周知してまいりたい。まず使ってもらうことをお願いしたい。慣れてくれば、どこを見ればいいか分かる。情報が詰まってるので、積極的な活用をお願いしたいと思ってます」