ロシアのプーチン大統領は8月13日、ロシアが実効支配する北方領土を初めて訪問し、択捉島の水産加工施設や病院、学校を視察した。ロシア大統領による北方領土訪問は、2010年に当時のメドベージェフ大統領が国後島を訪れて以来。択捉島は沖縄本島の約2.6倍の面積を持ち、終戦時には3608人の日本人が暮らしていた。北方四島全体では1万7291人に上った。共同通信によると、プーチン大統領は、今回の北方領土上陸の際に、ロシア海軍太平洋艦隊旗艦であるミサイル巡洋艦「ワリャク」で島の沖合に到着したことが15日、島民への取材で明らかとなった。訪問前日、プーチン氏は極東サハリン州で、日本が最新の防衛白書でロシアを主要な脅威に挙げたと指摘。ウクライナ侵攻を理由とした対ロ制裁に反発し、「安倍元総理とは建設的な関係を築いていた。現在の隣国の立場の変化は、我々の側が引き起こしたものではない」と主張。北方領土については「第2次世界大戦の結果として国際的な文書に明記されている」と述べ、ロシア領だとする立場を改めて強調した。これに対し、高市総理は「日本の一貫した立場と相いれず、中長期的な関係回復を困難にした」と強く抗議。日本政府は、北方四島は一度も外国領となったことのない日本固有の領土との立場を堅持し、対抗措置を検討している。
日本側ではこの数カ月、政府幹部の訪ロや人的交流事業の再開など、関係修復を探る動きがみられた。7月21日には、ASEAN関連会合の夕食会で茂木外務大臣とロシアのラブロフ外相が2国間関係や地域情勢について話を交わしたとされる。しかし、ロシア側は日本周辺で軍事的圧力を強めている。ロシア太平洋艦隊は4日、日本海やオホーツク海などで艦船約60隻、兵士1万3000人以上が参加する大規模演習に向けて展開を開始した。択捉、国後両島には地対艦ミサイルや地上軍部隊が配備されている。北方四島と千島列島は、戦略原子力潜水艦の活動海域であるオホーツク海を守り、ウラジオストクの艦艇が太平洋へ進出する経路を確保する要衝となっている。
★ゲスト:駒木明義(朝日新聞編集委員)、兵頭慎治(防衛省防衛研究所研究幹事)、小谷哲男(明海大学教授) ★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)