ウクライナ軍はこの1週間も、ロシア国内の製油所や石油化学施設、輸出港への長距離攻撃を強めている。ロシア国内の製油所などへの攻撃は7月に18カ所に達し、これまで最多だった5月の17カ所を上回っていた。そうした中、今月10日には、タタールスタン共和国ニジネカムスクにあるロシア最大級の石油精製・石油化学複合施設を攻撃した。年間最大1700万トンの精製能力を持つ重要拠点。同じ10日には、ウクライナ国境から2000キロ以上離れたシベリア西部のチュメニ州にある大規模石油化学コンビナートも標的となった。11日には、オレンブルク州オルスクの製油所が攻撃を受け、操業を全面停止した。年間原油処理能力は600万トン。修復には最大半年を要する可能性が指摘されている。

一方、黒海では両国がエネルギーや穀物の輸出拠点を攻撃する応酬が激化。米政府は、タンカーへの攻撃が原油市場を不安定化させ、米企業にも損害を及ぼすと懸念。バンス副大統領は7月31日の米ウクライナ電話会談で、カザフスタン産原油の積み出し施設などへの攻撃中止を求めた。ウクライナはノボロシースク港を利用する石油タンカーへの無人機攻撃を停止したと報じられたが、ロシアは黒海での部分的な攻撃停止案を拒否した。

ロシア独立系世論調査機関「レバダ・センター」によると、プーチン大統領の支持率は7月に74%へ低下し、与党「統一ロシア」の支持率も30%に低迷している。ロシア最高裁は8月10日、唯一反戦を掲げる政党「ヤブロコ」(ロシア語でリンゴ)を下院選の選挙参加を認めないことを決定。同党のルイバコフ代表は「選挙からの排除は、不都合な問いを投げかける人々との対話を拒否することを意味する」と判決を不服として訴えることを示した。

米欧の指導者がロシアによる北大西洋条約機構(NATO)の結束と対応力を試す「テスト攻撃」への兆候について、警戒を強めていることを、6日の米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。米情報当局者らは、ロシアが何らかの行動に出る時期を今年秋から2029年までの間と分析。サイバー攻撃のほか、正体不明の武装集団による領土占拠、東部国境への限定侵攻などを想定している。

★ゲスト:駒木明義(朝日新聞編集委員)、兵頭慎治(防衛省防衛研究所研究幹事)、小谷哲男(明海大学教授) ★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)