6人が死亡したアパートの放火事件の初公判で、男は「関係ありません」と無罪を主張しました。事件の直接的な証拠がないなか、裁判はどう進むのでしょうか。

 2017年、北九州市で木造アパートの「中村荘」が全焼し、住人の男性6人が死亡した事件の裁判です。

警察(当時) 「7年4カ月余りを要したが被疑者の逮捕に至った」

 発生から約7年後に逮捕起訴されたのが元住人の井上浩二被告(58)。

 アパートに火を放って全焼させ、6人を殺害した罪などに問われています。

 被告は今月5日、証言台に立ち…。

井上浩二被告 「私は関係ありません」

 全面的に関与を否定しました。

現場アパートの住人(当時) 「出てきた時は火の海。とにかく火の回りが早かった」

 検察側が井上被告を“犯人”と主張する根拠の一つは…。

検察側(冒頭陳述から) 「被告は知人に不動産会社や管理の不満を話し、『火を付けてやろうか』と言っていた。酒飲み仲間が『中村荘』に住もうとしていると話した時に、(被告は現場について)『汚い』『人間が住むところではない』と反対していた」

 また、火が出たとみられる時間帯に現場アパートに続く路地に入り、3分後に出てきた不審人物がいたこと。

 防犯カメラの捜査などから、この人物は被告であると主張しています。

検察側(冒頭陳述から) 「被告はガストーチ様のものを持って路地に入り、西側玄関から侵入した。1階の便所前で布団やごみ袋が入った段ボールなどに放火した」

 一方の弁護側は、火災自体が放火以外の原因で起きていた可能性があるという主張です。

弁護側(冒頭陳述から) 「井上さんが事件のことを警察から最初に問いただされたのは、放火の疑いがある事件から6年3カ月後だった。当時の記憶がないなか、長期間取り調べを受けて自分ならこう動くかもしれないと話した。はっきりと記憶して認めたわけではない」

 さらに、被告について「中村荘に放火する動機は一切認められない」としています。

 “放火現場”の目撃証言や映像など、「直接証拠」がないとされる今回の裁判。

 元検事の亀井弁護士は今後のポイントについて…。

元大阪地検検事 亀井正貴弁護士 「放火かどうか『犯人性』『殺意』の問題について、状況・間接証拠を積み重ねて起訴に至っている。(裁判では)1つでもピースが入らないと無罪の可能性もある」