高齢者施設で相次いでいるクラスターについてです。宮城県では2022年に入ってから3月7日までに32件発生しています。

 これは、2021年1年間に発生した件数を既に11件も上回っています。

 高齢者施設を運営している医師は「介護崩壊に近い状況にある」として、対策の強化が必要だと訴えています。

 清山会医療福祉グループ山崎英樹代表「通常の介護施設ですと(入居者)10人を(職員)5、6人で見るようになります。伝え聞いた施設では(入所者)30人を(職員)数人で見ているとかですね」

 県内で50の高齢者施設を運営する清山会医療福祉グループの代表、山崎英樹さんです。

 医師でもあり、高齢者施設の感染対策を検討する県の審議会のメンバーも務めています。

 山崎さんは、県内の介護の現場は崩壊寸前の状態だと指摘しています。

 清山会医療福祉グループ山崎英樹代表「入所系(の高齢者施設)では施設を閉鎖するわけにはいかないので、介護業務を継続するわけだが、そこに頻繁の健康観察、そして感染対策が入ってくるわけです。一方で、濃厚接触と判定された職員は勤務を継続できなくなりますので、その分、人手が不足する。多くの施設で、いわゆる介護崩壊に近い状態になっているのではないかと懸念しています」

 そして、山崎さんは高齢者施設で感染が拡大している要因として挙げているのが「エアロゾル感染」です。「エアロゾル感染」とは、空気中に漂うウイルスを含んだ微粒子を吸い込むことで感染することで、山崎さんが高齢者施設ではそのリスクが極めて高いと指摘しています。

 清山会医療福祉グループ山崎英樹代表「要介護者高齢者は、嚥下(えんげ)機能が低下しているので、非常にせき込む、あるいはむせ込むことが多い。食事介助の場面とか、普段でも自分の唾液でむせ込むこともあると。さらに大きな声を出してしまう方もいる。こういう状況の中でエアロゾルが発生しやすいということを一番念頭に置かなければいけない施設です」

 密着性が高く微粒子の侵入を高い確率で防いでくれる高性能マスクを感染者が発生した高齢者施設に支給するなど、対策が必要だと訴えています。

 清山会医療福祉グループ山崎英樹代表「若い方にとっては風邪で済むかもしれないけど、高齢者にとっては本当に命がかかった感染症なわけですね。まったく別次元で高齢者施設への対応を社会が考える必要があると思います」