宮城県が10日に公表した津波の浸水想定では、手厚い備えが必要になる高齢者施設でも避難計画の見直しに迫られることになります。東松島市内の高齢者施設を取材しました。

 県が10日に公表した津波の浸水想定は、満潮時に地盤沈下が起き防潮堤や水門が壊れるなど最悪のケースを想定しています。

 東松島市では東日本大震災の浸水範囲を基に、3段階に区分した津波避難マップを作成していましたが、今回の想定で浸水面積は1.3倍に広がりました。

 今回新たに浸水範囲に含まれた有料老人ホーム四季の里です。

 東日本大震災でも津波は周辺の田んぼの中で止まり、浸水の被害はありませんでした。 幕井信施設長「正直驚いていますけれども、前回の地震で来なかったものですから、津波の方が。ただこれは楽観視できない」

 新たな想定では、この地域は1メートル以上3メートル未満の浸水の範囲に含まれました。

 ただ、建物は1階建てで垂直避難はできません。

 最大で38人になる利用者の中には車いすの人もいて、5台ある送迎車で高台までの避難を考えています。

 幕井信施設長「車で10分くらい走れば高台には行けると思うんですけれども、その時の混み具合とかそういった部分にもよってきますので、どれだけスピーディーに避難してもらえるかが大事だと思います」

 一方、これまでの津波避難マップでも浸水が予想されていた、特別養護老人ホームやもと赤井の里です。

 土井孝博施設長「浸水想定区域が広がったこと、そしてその深さも今までよりも想定が浸水の深さが深くなったことで、これまでの計画で本当に大丈夫なんだろうかという不安は出てきました」

 2階建てのこの施設では、1階の入居者は2階へ垂直避難する計画です。

 東日本大震災で浸水した経験を踏まえ、停電でエレベーターが使えなくても少人数の職員で車いすが避難できるスロープを設置するなど、浸水への備えを進めてきました。

 更に、この施設は災害時に指定避難所での生活が困難な人を受け入れる福祉避難所に指定されています。

 土井孝博施設長「近くの施設を頼ろうという方々が、今までの想定より増えることが考えられるので、私たちとしても福祉避難所としての機能をより今まで以上に強化して、考えていく検討していくということが求められる」