日本の東にある千島海溝と日本海溝で想定される大地震と大津波について、政府の中央防災会議は新たに津波避難対策を強化する地域を指定しました。宮城県では沿岸部の全ての自治体が強化対象の地域となり、今後国の支援を受けながら避難経路の整備などの事業を推進していくことになります。

 政府の中央防災会議は2021年、北海道沖の千島海溝と東北沖の日本海溝沿いで想定される大地震と大津波について、最も深刻なケースでは津波などで約20万人が死亡し、冬の時期だと4万人以上が低体温症になるとの想定を出しました。

 これを受け中央防災会議は30日、新たに津波からの避難対策を特別に強化する地域、津波避難対策特別強化地域として、北海道から千葉県までの108の市町村を指定することを答申しました。

 宮城県は地震発生から40分以内に津波で30センチ以上浸水する地域であるなどとして、沿岸部の15の自治体全てが強化対象の地域に指定されました。

 指定された自治体が今後津波避難タワーなどの施設や避難経路を整備する際は、国の費用負担が2分の1から3分の2に引き上げられます。

 県は、5月に最大級の津波に基づく新たな浸水想定を公表していて、その中では多くの自治体で従来のハザードマップでは避難所のある浸水が想定されていない地域も浸水エリア入るなどし、避難のあり方の見直しが迫られていました。

 県の担当者は「沿岸部の全ての市町村を指定するよう強く国に要望していた。実現したことは高く評価したい」と話していました。