仙台市と医師会、NTT東日本が協力して診療カーを使ったオンライン診療の実証実験が始まりました。通院患者の負担軽減につながるのではないかと期待が寄せられています。

 川原千夏子記者「普通の軽トラックが診療カーになっているということです。中を開けてみますと、20キロ先のクリニックの診察室とつながっています」

 この実証実験は仙台市と仙台市医師会、NTT東日本などが新たなオンライン診療として2月から始め、22日に太白区の秋保総合支所で報道陣に公開されました。

 このシステムでは、医療機関に通うことが難しい患者がいる遠隔地に小回りが利く軽トラックを使った診療カーが出向き、オンラインで医師の診察を受けることができます。

 車内には血圧の測定や聴診、超音波や心電図を測る医療機器を搭載。看護師だけが現場に行き医師の指示で診察や測定を進めるため、今後の医師不足も見据えた新たな診療の形です。

 石田奈緒巳看護師「先生、聴診します」

 安藤健二郎医師「はい、お願いします」

 今回取り入れた機器の一つが、スマートホンと連動した聴診器です。

 患者の心臓や肺の音を聞く時に、医師が気になった部分を遠隔で指示をして現場の看護師が操作することで、よりリアルに診察することができます。

 仙台市医師会安藤健二郎会長「音の伝わりは、良いんです。この機械のほうが明瞭というか大きな音に聞こえる」

 オンライン診療をめぐっては、5年前に国が指針を作り一部で保険適用が始まりましたが、通信環境の確保や実際に対面で患者を診ることに比べ、診察の判断材料になるデータが不十分との課題を残していました。

 仙台市医師会安藤健二郎会長「まだオンライン診療そのものが、東北の場合は普及がまだまだですので、今回の実証実験から発展させたい」

 今後、通信環境やデータのやり取りを検証し、2023年秋の実用化を目指すということです。