福島第一原発の処理水をめぐり、政府が8月下旬にも海洋放出を始める方針の中、宮城県多賀城市で福島第一原発周辺の水産物に含まれる放射性物質トリチウムの検査が始まりました。

 検査が行われているのは千葉県にある海洋生物環境研究所の多賀城分室です。処理水の海洋放出を前に7月開設されました。

 水産庁の委託を受けて福島第一原発から半径5キロ圏内で獲れたヒラメなどのトリチウム濃度を調べています。

 通常トリチウムの検査で行う「精密分析」では、1キロあたり0.4ベクレルまで検出できますが、結果の判明まで1カ月半ほどかかります。

 ここでは「迅速分析」と呼ばれる方法を採用することで、検出できるのは1キロあたり10ベクレル程度になりますが、翌日にも結果が分かるということです。

 放出後1カ月程度は千葉県での精密分析と並行して毎日検査を行います。

 海洋生物環境研究所・松本陽主査研究員「なるべく早く安全安心に繋がるデータを提供するという点で迅速分析は理にかなっている。風評を抑制する、払拭するというところを重点的に考えて実施していきたい」

 検査結果は水産庁のホームページで公表されます。