予期せぬ妊娠で誰にも相談できずに孤立する女性を支援する、仙台市のNPO法人です。

 青葉区国分町にある女性のために設けられた 月に3回から4回開かれている無料の居場所スペースです。 ささいなことも含め、悩みがある場合は相談することができます。
 予期せぬ妊娠や困窮した状況下で出産する女性を支援する青葉区のNPO法人、キミノトナリが開設しています。

 キミノトナリでは、SNSや電話でも相談を受け付けていて、アドバイスだけではなく妊娠中の女性には病院や行政窓口への付き添いなど直接的なサポートもしています。
 キミノトナリ代表理事東田美香さん「最近は生理が遅れてるんですっていうご相談がとても減っていて、中絶をせざるを得ないんですけどお金が無いんですけどっていうご相談だったり、妊娠後期とか臨月とか直接支援に動かなければいけないっていうようなケースが増えてきていますね」

女性を支える支援団体

 代表理事の東田さんは、2020年6月に友人の弁護士や助産師、社会福祉士ら約20人でキミノトナリを設立しました。10代から20代を中心に全国から悲痛なSOSが寄せられていて、これまでの相談は1700件に上っています。

 キミノトナリ代表理事東田美香さん「あ、もっと大きくなったね」
 東田さんたちが支援する関東出身の20代Aさん。1カ月後に出産を控えていました。家族や親せきとは疎遠で、2年前に仙台市に移り住みました。ほどなくして交際した男性と別れた直後に妊娠が発覚し、既に18週目でした。Aさんは家族に頼ることができませんでした。
 Aさん「交際相手とはもともとあまりうまくいってなくて、今も連絡は取れるんですけど、別にお付き合いはしていないです。22週に入ったら中絶はもう駄目なので、決められるまでが本当に短かったのでずっと泣いてました」

 精神的に不安定な状況が続く中、出会ったのがキミノトナリでした。東田さんたちは病院を紹介し、身重なAさんは仕事を続けることができず生活が困窮していたため、金銭的な支援も受けられるようにサポートします。定期的にLINEや電話で連絡を取り合い、出産後の子どものことや生活のことなどを相談に乗ってきました。
 Aさん「生まれたら(考えが)変わるっていう方もいると聞いていて、今の段階では養子に出そうかなと思っています」

支援団体に相談

 不安を抱えながら生活を送る女性たちは、突然、連絡が取れなくなることも頻繁にあります。
 阿部美喜さん「うーん、もうちょっと待ちます?」
 東田美香さん「ねー、待ちましょう。最近連絡取れてないしね全然ね」
 阿部美喜さん「大丈夫だろうか、この暑い中ね」

 この日は、入院出産前の買い物に行く約束をしていました。
 阿部美喜さん「今はもういつでもどうなってもおかしくないです。もしかしたら今晩陣痛が来るかもしれないし、何しろ彼女からの情報が無いので私たちも把握できずにいるというのも現状ですよね」

 Aさんと連絡が取れたのは3日後でした。出産が近付くにつれて、不安が大きくなったということです。東田さんたちはそっと寄り添います。
 「赤ちゃんのおしりを拭き」
 Aさん「赤ちゃん、私が使うのかと思った」
 阿部美喜さん「良いよ使っても、おしり拭いても」
 東田美香さん「OK、では行こうか。ありがとうございました」

 1週間後に、Aさんは約2800グラムの赤ちゃんを出産しました。
 Aさん「何でこんなに可愛いんだろう」
 東田美香さん「うふふ。(養子に出すことに)変わりないかな?気持ちとしては」
 Aさん「うーん、(ずっとそばで)見てたいなとは」
 東田美香さん「うん。見てたいなとは思うけど、けどって感じかな今は」
 Aさん「うーん何だろう、可愛いだけじゃいけないしなって思う」
 東田美香さん「そりゃそうだね、誰もそれを通ってくるわけだけど」
 Aさん「揺らいでないかって言われるとちょっと難しいですね」

出産し未来を考える

 出産から1週間後、区役所に出生届を出すAさんの姿がありました。赤ちゃんの養子先は決まっていましたが自分で育てる未来を強く考え始め、いったん断ることを決めました。
 Aさん「出産前に比べたら元気な気がします。明るい気持ちな気がします。1人なので大変ではあるんですけどまずは楽しみです」

 キミノトナリ代表理事東田美香さん「相談してくれる方に対しては本当に感謝で、こういうNPOにすら連絡ができないとかそもそも知らない方がまだたくさんいらっしゃると思うので、どんどんお知らせしていって気軽にご相談していただけるようになると良いかなと思っています」