家族同然のペットが深夜に突然、病気やけがをした際の最後の砦となる仙台市で唯一の夜間救急専門の動物病院です。
仙台市宮城野区にある夜間救急動物病院は、一般の動物病院の診察が終わる午後9時から始まる夜間専門の動物病院です。病気やけがなど様々な症状で、1日15匹ほどが急患でやって来ます。
犬のまる君(1)は、飼い主の中学生になる娘が置いていたイヤホンをかじって飲み込んでしまいました。
「やんちゃなんです、すごく。ここにお世話になるの2回目で。色々な物を食べちゃうんだよね」
薗田憲史獣医師「体大きいので、そのまま便として出る可能性高いんですけど、一応、安心のために吐かせたいということで」
薬を投与して、吐き出させます。まる君から出てきたのは2センチほどのイヤホンでした。
薗田憲史獣医師「これで空っぽだと思うので、経過を見て」
飼い主「このまま何も食べさせない方が良いですよね」
薗田憲史獣医師「そうですね。吐いちゃうかもしれないので絶食で、翌朝から食べさせて大丈夫ですので」
飼い主「助かりますね。私たちもどうして良いか分からないじゃないですか。いつも行ってる動物病院はあるんですけど、土日だったり、祭日の夜だったりとか」
続いて、飼い主に連れられてきたのは柴犬のトワちゃん(8)。同居犬とけんかして、耳の後ろを気にする様子があったため来院しました。
飼い主「仲裁に入って思いっきりかまれて」
けんかを仲裁しようとした飼い主も手をかまれ、救急病院に寄ってから来たと言います。
小島佳岳獣医「出血は無さそうですね。傷の場所を確認すると毛を刈ってしまうしかない。出血があれば充血点見ますが、現状そこまではやらなくてもという感じはあるので」
トワちゃんに目立った出血は見られず、痛み止めと抗生剤を投与して様子を見ることになりました。
一般の動物病院は個人経営が多く夜間救急の対応が難しい状況を改善しようと、夜間救急動物病院は2004年9月に仙台市獣医師会がを設立した仙台市では唯一の夜間救急専門の動物病院です。
夜間救急動物病院小野裕之院長「医師が休む時間も必要ですし、だからといって動物は待ってくれませんから、専門に診察する所は必要だろうと。夜間が頼りという最後の砦みたいにおっしゃる人もいる」
レントゲンやCTなどの設備も整っていて、獣医師3人看護師4人態勢で年中無休で対応に当たっています。
ボクサー犬のビリー君(11)は、人間だと約70歳です。夕方ごろから尿が出なくなり来院しました。体内に細い管を入れ、尿を排出させることになりました。診断は膀胱炎です。細菌感染や結石などで、排尿障害や血尿などの症状が出ます。
飼い主「見ていられないというか、すごく苦しそうなので」
黒田聡史獣医師「お腹に水がたまっているようなので、それを抜いて急いで対応するべきか診たい」
超音波で詳しく検査すると。
寺地基浩獣医師「これです。何か大きいけど、ここにできものできるとしたら由来不明腫瘍。脂肪だと思うけどね肉腫とか」
偶然にも腹部に小さな腫瘍があることが分かりました。かかりつけの動物病院で精密検査することになりました。
獣医学の進歩などにより犬や猫の寿命は約14歳と、10年前に比べて1歳ほど延びています。一方で、年齢とともに心臓病や糖尿病などにかかりやすくなると言います。動物の症状を瞬時に判断できるかが、動物救急の難しさです。
小島佳岳獣医師「本人がしゃべれない。しゃべれないというか、我々が理解できないだけだと思いますけど。問診ができないということが大きいですよね」
ケージに入れられてやってきたのは、猫のカンタロウ君(2)です。室内から脱走し、帰って来たら目の周りが傷だらけでした。
寺地基浩獣医師「けんかしたのかな。きれいな爪じゃない。出血してます。けんかしたのか思いっきり逃げたのかな、ささくれているの分かりますか」
眼球には大きな傷は無く抗生剤が投与され、安静にすることになりました。
飼い主「安心しました。何かぶつかったのかと思って、脳出血、目からの出血だったので。交通事故に遭ってなかっただけでも良かったです」
ペットの命を守り、飼い主に安心を与える夜間救急動物病院のスタッフたちは今夜も対応に当たります。