アメリカのトランプ政権は自動車部品に対して25%の追加関税を3日午後、発動しました。こうした関税政策により、世界中で景気の先行きに懸念が広がっています。
■自動車部品に25%の追加関税発動
トランプ関税を巡る2度目の日米交渉。議論はどれほど進んだのでしょうか。
関税交渉を担当する赤沢大臣は「前進した」と強調します。
関税交渉担当 赤沢経済再生担当大臣 「今回は日米間で非常に突っ込んだ議論ができたと考えている。議論の結果として、可能な限り早期に日米双方にとって利益となるような合意を実現できるよう、率直かつ建設的な議論を行い前進することができた」
1日の交渉で日本側はトランプ関税の撤廃を要求。追加関税25%が課されている自動車や鉄、アルミニウムについて見直しを求めました。
一方、アメリカ側は自動車などへの関税は交渉の対象外という考えを示したということです。
トランプ政権は3日、主要な自動車部品に対しても25%の追加関税を発動しました。
赤沢経済再生担当大臣 「その導入は遺憾である。一連の関税措置を見直す、端的に言えば撤廃をすることを強く求め続けているところ」
■トランプ関税に景気後退の影
相互関税政策で、アメリカの経済を強くすると主張するトランプ大統領。ところが、アメリカ国内では逆効果となり貿易摩擦の悪影響が出ています。
「iPhone(アイフォーン)」を販売するアップルは、関税措置の影響で4月から6月期におよそ1300億円もの損失が生じる見通しを明らかにしました。
「iPhone」の年間販売数は6000万台以上で、その大半が中国で組み立てられています。
中国からの輸入品には最大145%の追加関税が課されているため、生産の拠点をインドに移す計画があるとしています。
また、国際貨物輸送の大手「UPS」は貿易縮小を見越して、従業員2万人を削減すると発表しました。
アメリカのGDP=国内総生産は、今年1月から3月までの伸び率がマイナス0.3%と大きく減速。3年ぶりのマイナスに転じています。
トランプ大統領 「GDPの数字が出たがこれはバイデンのせいだ。トランプのせいではない。なぜなら私たちは1月に就任したばかりだからだ」
日本では大手商社2社で、今年度の純利益が前期に比べ、マイナスの見通しです。
三井物産 堀健一社長 「関税の交渉状況や政策が不透明な状態が長く続くと、実体経済に大きな影響がある」
そのトランプ関税によって影響を受けた企業がここにも…。
カリモク家具 加藤信副社長 「まさか家具に関税がかかるというのは正直思っていなかった」
愛知県に本社を置く「カリモク家具」。家具が狙いうちされたわけではありませんが、先月5日に発動された一律10%の上乗せ。これが大きな問題に…。
加藤信副社長 「日本でも(価格が)10%上がると高くなった感覚を持たれると思うので、10%が非常に大きな負担になる」
曲線で構成され、まるで一本の木からできているような自然のつなぎ目の椅子。看板ブランド「KARIMOKU CASE」のやさしいデザインはアメリカでも評価が高いそうです。
20年前から東アジアを中心に海外展開を開始。海外でのデザインイベントなどで知名度や人気を上げ、これから本格的にアメリカ市場に進出というタイミングでした。
加藤信副社長 「これから北米市場を積極的に取り組んでいこうとするなかで、価格政策の見直しを行わないといけないし、競争力が落ちてしまう可能性もある」
■“家具業界”ならではの懸念も
加藤信副社長 「デザインとか好みの色とか時期によって人気のものが変わるので、製造したものが速やかに出荷できるのが望ましい」
注文を受けていた状況ではなかったため「発注取り消しなどはない」そうですが、今後、製造や販売などで時機を逃すおそれもあるといいます。
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