東京・練馬区でトラックと軽乗用車3台が絡む事故があり、軽乗用車に乗っていた男女が死亡しました。見通しの良い直線道路で、なぜ死亡事故が起きたのでしょうか。

■“見通しの良い道路”で事故

 どこが運転席だったのか分からないほどに壊れた軽乗用車。18日、練馬区で車3台が絡む事故が起きました。

 現場は西武池袋線の桜台駅から南に600メートル、環状7号線の陸橋付近です。午前4時半ごろ、「トラックと軽自動車の正面衝突」と110番通報がありました。

近隣住民 「消防車とかパトカーのサイレンで『なんだろう』って思って外に出た感じ。そばに見に行ったら対向車線寄りにダンプカーと軽乗用車がひっくり返っている状況。『これは普通の事故じゃないな』」

 この事故で40代から50代の男女合わせて4人が救急搬送されました。このうち、軽乗用車に乗っていた40代の男性と50代の女性の死亡が確認されています。

 警視庁によりますと、板橋方面へ向かう車線を軽乗用車とダンプカーが走っていたといいます。そして、対向車線を走るトラックと正面衝突しました。

近隣住民 「幹線道路ですから早朝5時でもそこそこ交通量はある。あそこは陸橋を降りて直線なので、見通しはすごくいい」

 事故現場付近は1キロ以上にわたってカーブがない直線道路でした。

 一体なぜ、そんな場所で死亡事故が起きたのでしょうか。

 交通事故の専門家に映像を見てもらい、何が起きたのか分析してもらいました。

交通事故鑑定人 熊谷宗徳さん 「これがガウジ痕。アスファルトを削るような」

 ガウジ痕とは、車両の金属部分と路面がこすれて生じる痕跡のこと。それが残された場所から事故地点が特定できるといいます。

 今回の事故現場では、ガウジ痕が軽乗用車の進行方向とは逆の車線にありました。

交通事故鑑定人 熊谷宗徳さん 「ちょうどそれ(ガウジ痕)がここに3本ある。ここで(軽乗用車が)横転したことが分かる。自車線にはみ出す形で横転してしまったので、後ろから来たダンプカーが回避できずに衝突したのでは」

 現場の痕跡から交通事故鑑定人の熊谷さんは、事故の経緯をこのように推測しました。

交通事故鑑定人 熊谷宗徳さん 「右にハンドルを切るような形でトラックの第二車線上で正面衝突する。この時に軽乗用車は、ここで横転してしまって斜めになってしまった。横転した軽乗用車は斜めになってここにいたために、後ろから来たダンプカーが軽乗用車に衝突してしまう」

 さらに、見通しが良いとされる場所でも落とし穴が潜んでいるといいます。

交通事故鑑定人 熊谷宗徳さん 「お互いに坂道を下ってくるような道路。谷になっているようなところ。互いに下り坂でスピード出やすい」

 警視庁は詳しい事故の原因を調べています。