スーパーのコメ販売総額ランキング。今、上位を独占しているのは「ブレンド米」です。注目の「ブレンド米」、そもそもどうやって作っているのでしょうか。

■入荷後すぐに売り切れるブレンド米

 今、コメの売れ筋に大きな変化が起きています。

 東京・足立区のスーパーで18日、コメ売り場で売られていたのは「コシヒカリ」や「あきたこまち」など、産地と品種が単一の銘柄米のみです。

スーパーたなか三丁目店 田中達人店長 「今月初めに来た備蓄米がいったんなくなったので今、出ているのはすべて新米(2024年産)になる」

 入札で放出された備蓄米を含む複数のコメが混ざったブレンド米は入荷後、すぐに売り切れるといいます。

スーパーたなか三丁目店 田中達人店長 「店に置いているのは東北地方のブランド米をブレンドした備蓄米。(税抜き5キロ)3330円程度で販売していて、今のところ2回入荷したが、どちらも3日ほどで完売」

 銘柄米はいまだ4000円台後半まで高騰しているのに対し、ブレンド米は3000円台半ばと1000円以上の差が。

スーパーたなか三丁目店 田中達人店長 「新米だと3000円台はかなり難しいのが現状。(税抜き)3000円台前半で(ブレンド米を)客に提供できるのは、かなりありがたい」

 全国のスーパーでのコメの平均価格は5キロあたり税込みで4176円。3週連続の値下がりで、前の週より48円安くなっています。

 このうち銘柄米の平均価格は4443円で、前の週より14円値上がりしています。

 一方、ブレンド米などは3834円で、前の週より64円値下がりしています。

 ブレンド米が値下がりしている背景にあるのは、競争入札によって放出された備蓄米が続々と店頭に並び始めたことにあります。

 例えばJAグループの卸売業者「全農パールライス」が精米するパールライスのお米は、JAが落札した備蓄米などが含まれています。

 JAの直売所などでは、こうしたブレンド米が3500円を切る価格で売られています。

ブレンド米を購入した人 「安かった、他より」 「安い。つい20キロ買っちゃった」 「備蓄米を買うのは3回目。食べてみておいしい。他の銘柄米とそんなに変わらないのでは。これがなくなったら同じコメを買いに来ると思う」

■スーパーで上位独占 人気のワケ

 今、人気が高まっているブレンド米。消費者は何を求めているのでしょうか。取材に訪れたのは全国のスーパー6000店舗以上と連携して販売実績のデータを調査している会社です。

マーチャンダイジング・オン 浅見壮大マネージャー 「6月1日から15日、日別のデータ集計もできる」

 今月のデータを集計すると、コメ5キロの売れ筋ランキングに大きな変動が…。

マーチャンダイジング・オン 浅見壮大マネージャー 「ブレンド米と呼ばれるものが上位にランクイン」

 備蓄米の入札が始まった3月と今月で売れ筋を比べてみると、3月はトップ10に入ったブレンド米は1つのみだったのが、6月には6つのブレンド米がランクイン。1位から5位まですべてブレンド米が占めています。

 1位はパールライスのお米で、平均価格は3376円です。ブレンド米は、すべて3000円台となっています。

マーチャンダイジング・オン 浅見壮大マネージャー 「備蓄米が放出されて安価なコメが世の中に出回ってきたことがうかがえる」

 さらに会社のホームページで毎日、公開しているのが全国のスーパーでのリアルタイム価格です。

 赤い数字は店頭で売られているコメの平均価格で、17日の時点では4251円です。一方、青い数字は実際に客が購入したコメの平均価格で、500円近くも安くなっています。この差から分かることは…。

マーチャンダイジング・オン 浅見壮大マネージャー 「(Q.価格の開きについて?)実際には安い・買いやすいコメが世の中に広まってきている。必然的に消費者の(安いコメの)購入頻度が上がっている」

 大阪市のスーパーでは、高止まりが続く銘柄米よりもブレンド米の方が売れ行きが好調だといいます。

フレッシュマーケットアオイ 内田寿仁社長 「6:4でブレンド米がよく売れている。ブレンド米も4000から4500円くらいの間で販売しているので、決して安い印象はないかなと思いますが、銘柄米は4000円台後半から5000円台後半の値段になってしまう。1000円以上、違うのでブレンド米はよく売れている」

■「ブレンド米」作り方は?

 人気が高まるブレンド米は、そもそもどうやって作っているのでしょうか。取材班が向かったのは埼玉県内にある精米工場。ブレンド米などを製造・販売している「東洋ライス」です。

 工場内では、玄米から白米に精米する作業が行われています。

 ブレンド米を作る時には、どの段階でコメを混ぜるのでしょうか。

東洋ライス サイタマ工場 布元淳一工場長 「この工場では玄米の段階でブレンド。それを精米して製品化していく」

 ブレンド米を作るポイント、1つ目は精米する前にブレンドすること。さらに、東洋ライスではブレンドの比率などを決めるのに主観的と客観的2つの観点にこだわっています。

 登場するのはブレンダーと呼ばれるブレンド職人。そして、味度メーターと呼ばれる測定器です。

東洋ライス サイタマ工場 布元淳一工場長 「まず、ブレンダーが食べて決めるという主観的な部分がある。もう1つは“味度メーター”という機械を使いまして、客観的な数値を使って両方を見て決めていく」

 コメのおいしさを測ることができる味度メーター。白米を機械にセットしてから10分後。コメの表面だけが炊けた状態に仕上がります。

 5分ほど蒸らした後、コメの表面を覆う保水膜を測定すると、味度が数値化されます。結果は78.4。

東洋ライス サイタマ工場 布元淳一工場長 「(Q.これはいかがでしょうか?)平均よりもおいしい」 「80点だと粘り気のあるおいしいご飯。コメの経時劣化が点数として出てくる。最初80点だったのが、半年後や1年後点数が下がってくる。ご飯を食べた時に感じる古いコメだとパサパサする感じと点数がリンク」

 味度の数値から劣化の度合いが分かります。そのうえでコメの配分を決めれば、バランスの取れたおいしいブレンド米が出来上がるといいます。

東洋ライス サイタマ工場 布元淳一工場長 「これが一番、安定している証拠になる。客観的な数値はすごく参考になる」