アメリカのトランプ大統領がイランへの攻撃計画を条件付きで承認したとアメリカメディアが報じました。

■トランプ氏 イラン攻撃承認か

 イランの首都テヘラン。町の一角は白い煙に包まれました。イスラエルが警察本部を空爆したのです。両国の交戦は19日で7日目です。

 今、焦点となっているのはトランプ大統領の決断。アメリカが介入するのか否かです。

トランプ大統領 「まもなく“戦争ルーム”で会議がある。状況分析室とも言うが。これから状況を見極めるつもりだ」

 ウォール・ストリート・ジャーナルによりますと、トランプ大統領は17日夜、イランへの攻撃計画について側近らに対して“非公式”に承認したといいます。

 ただ、最終的な命令は保留しているといいます。

トランプ大統領 「何をすべきかという考えはあるが、まだ最終的な決断はしていない。最終決断は実行の直前に下すのが好きだ。なぜなら、特に戦争では状況は一瞬で変わるからだ」

■トランプ大統領“あいまい”のワケは

上智大学 総合グローバル学部 前嶋和弘教授 「イランは9000万人以上の人々がいる。もしアメリカがちょっとでも介入していったら、本格的な戦争になってしまって、イラク戦争、アフガニスタン戦争、過去20年間、アメリカが苦しんだ二の舞いに」

 実際、トランプ大統領は…。

トランプ大統領 「私は現代の大統領で、新しい戦争を始めなかった最初の大統領だ」

 戦争を始めなかったことをアピールしてきました。

上智大学 総合グローバル学部 前嶋和弘教授 「イランという大国に対して“トランプの戦争”を仕掛けると、やはりイラン対アメリカの構図が大きくなってきて、最終的にはレジームチェンジ(体制転換)になる可能性がある。これは莫大(ばくだい)なコミットメントが必要で、トランプ大統領以降も苦しむことになる」

 “トランプ派”として知られる共和党の下院議員も介入反対を表明しています。

グリーン下院議員(共和党) 「アメリカ国民が求めているのは安いガソリンや食料、光熱費や住宅などだ。新たな外国の戦争に関わるべきではない」

 極めて不透明な情勢に日本政府は…。

中谷防衛大臣 「必要な場合に速やかに邦人等の輸送が行われるよう、航空自衛隊C2輸送機2機を本邦からジブチ共和国に向けて出発をさせる予定であります」

 外務省によりますと、イスラエルには約1000人、イランには約280人の日本人が残っているといいます。

 希望者は陸路で隣国のヨルダンに移動するといます。

退避する日本人 「個人の移動だと途中で何があるか分からないのと、ヨルダンに入った途端本当に1人になってしまうので、ちょっとちゅうちょしていたが、今回は大使館の手配で…」

 イスラエル軍は19日、イランの「アラク重水炉」に対して攻撃を実施したと発表しました。プルトニウムを抽出できる施設で、イランは研究のために建設を進めていました。

 AP通信によりますと、イラン国営テレビは「すでに施設は避難済みで、放射能漏れもない」と伝えています。