28日、中国に返還される和歌山の4頭のパンダが「アドベンチャーワールド」を後にした。最後の一般観覧となった27日は、大勢のファンが別れを惜しんだ。番組ではこれまでパンダを追い続けてきたカメラマンに密着取材した。

■パンダのフォトブック 20冊以上自主出版

 真剣なまなざしでカメラのシャッターを切るこちらの男性は、東京から和歌山のアドベンチャーワールドに通うパンダファンの松田和之さんだ。

 松田さんは17年前、アドベンチャーワールドで生まれた双子のパンダ、「梅浜(めいひん)」と「永浜(えいひん)」をテレビ番組で見たことをきっかけに、パンダを好きになり、この2頭が2013年に中国に返還された後もパンダへの思いは変わらなかったという。

 今回、4頭のパンダが中国に返還されることになり、多くの人が最後の別れを惜しむなか、松田さんはこう話した。

「まさかという感じであぜん、ぼうぜんでしたね。元々、今いる子どもたちは、ある程度の年になると繁殖のために中国に旅立つというのは始めから決まっていることなので。子どもたちはいずれというのはあったのですけど、良浜(らうひん)も、お母さんパンダも含めて全部一緒に帰ってしまうということで本当にびっくりしました」

 パンダファンの松田さんは、これまでアドベンチャーワールドのパンダたちを自前のカメラで撮影。1日で1000回以上、シャッターを切るという。

「ちょっとしたしぐさが人間くさかったりするので、それがうまく撮れた時とか、あるいは、パンダの写真撮る時にやっぱり目が開いた状態だとより可愛く撮れるので、なるべく目の開いた状態で、なおかつ、いいしぐさをしている時の写真を撮れた時はやったなと思いますね」    さらに、これまで撮り続けてきた写真をフォトブックにして自主出版、その数は20冊以上に上る。

 そんな松田さんの写真がきっかけでパンダファンになったという人もいる。松田さんがアドベンチャーワールドを訪れる際に、必ず宿泊するという老舗旅館「柳屋」の女将、湯川佳代さんだ。

 今では、パンダを見るために湯川さん自らアドベンチャーワールドに足を運ぶだけではなく、松田さんの写真を多くの人に見てほしいと写真展まで開催するほどになった。

湯川女将 「何回か来られるお客様はこれをご覧になるのが楽しみだったり、アドベンチャーワールドがコロナの時もそうだったんですけど、ちょっと閉めたりされた時に、このパンダの写真展をご覧になって、これで満足しましたってお客様もいらっしゃいました」

■“パンダ写真家”最後の別れ

 そんなパンダ愛にあふれる松田さんが、中国に返還される4頭のパンダに会うため一般公開最終日となった27日、アドベンチャーワールドを訪れた。

松田さん 「(Q.(パンダの)観覧が最終日を迎えて今の気持ちは?)そうですね。最終観覧日ということで、笑っても、泣いても最後の一日ですから悔いのないように写真も撮りたいですし、しっかり目に焼き付けていきたい」

 カメラを手に、およそ1400人の客と共に行列に並ぶ松田さん。いよいよ別れの時を迎える。

 まず向かったのは、母親パンダの「良浜」とその子ども「彩浜(さいひん)」が展示されている施設だ。

松田さん 「『良浜』寝てたのですけど、最後起きてくれまして、ちゃんと顔が見ることができて最終回よかったです。『彩浜』は寝っぱなしでしたけど、2頭には『ありがとう』と『元気で過ごしてね』と伝えられたので、今回の観覧会も満足しました」

 そして、「楓浜(ふうひん)」と「結浜(ゆいひん)」の施設では…。

「ふうちゃん(楓浜)ありがとう。中国行っても元気でね」

 パンダたちに感謝を伝える松田さん。開園から閉演までの8時間、夢中でシャッターを切る。そして…。

アドベンチャーワールドスタッフ 「どうぞ皆様、最後までのご観覧ありがとうございました」

松田さん 「やっぱり(いなくなるという)実感がない。普段の一日と変わらない終わり方をしているように感じますね」

 4頭のパンダの一般公開最終日、松田さんが撮った中で、一番だという写真が、ささを食べてる姿だ。

松田さん 「ささ食べてる時に、目はつぶらずに撮れているので、そこが一番かなって」 「(Q.これからも(パンダを)撮り続ける?)パンダが(和歌山に)来てくれたら撮り続けたい」

(「ワイド!スクランブル サタデー」2025年6月28日放送分より)