宮城県内では10日や11日も住宅の敷地内にクマが侵入するなど、人間の集落に近づくアーバンベアの目撃情報が絶えません。その要因や対処法を専門家に聞きました。

 警察によりますと10日午前6時ごろ宮城県大崎市古川清水の住宅で、倉庫にクマが侵入し荒らされる被害がありました。

 目撃者「もういきなりバンバンバンバン突き破っている状態で、突き破って向こうの方に逃げて行ったんですよ」

 11日は宮城県名取市の住宅街の公園や仙台市太白区の住宅の敷地内でもクマが目撃されています。

 先月以降、クマの目撃情報が急増していることから、宮城県はクマ出没警報を発令し、注意を呼び掛けています。

 日本ツキノワグマ研究所米田一彦所長「仙台市は緑地が市街地に突出する場所がある。アーバンベアが住みつきやすい環境にある」 広島県の日本ツキノワグマ研究所で50年以上にわたりクマの生態を調査、研究する米田一彦所長です。

 米田所長は人間の集落に近づくクマ、アーバンベアが相次いで目撃されている理由の一つとして、集落周辺で親グマが駆除され、その近くに子グマが居残っている可能性を指摘しています。

 日本ツキノワグマ研究所米田一彦所長「母グマが殺されると赤ん坊グマは、そこで待つ。そういう習性がある。母グマから学習していない餌の取り方をですから人間社会の近くにいるのが一番安全」

 また地方の集落で過疎化が進んでいることも、クマが頻繁に出没する要因だということです。

 日本ツキノワグマ研究所米田一彦所長「集落の半分は人がいない。ですが、昔からの果樹、カキ、栗があるそうするとそこがクマの居場所になる。世紀末に1万頭と言われていた中で今は5万頭と言われている。初期の段階で今世紀初頭に法律に則って、駆除を進めるべきだった愛護的な苦情が多く行政も委縮した」

 ではアーバンベアに、私たちはどのように対処すればいいのでしょうか。

 日本ツキノワグマ研究所米田一彦所長「刺激を与えないこと。食べているところに接触すると事態は悪く進展する。戸締りをしっかりする。食べ物を置かない。最近はドッグフードが危ない」

 20世紀末に1万頭だったクマが今では5倍というのは本当に驚きです。

 宮城県は今回、被害が出る前の捕獲の方針を示したが、私たちも被害に遭わないよう対策をしたい。