2025年の新米について、農協が米農家に前払いする概算金の基準が2024年に比べて約1.7倍と大幅に引き上げられることになりました。新米が出ても、米の高値が続きそうです。

 米の概算金はJAを通して出荷する農家に支払われる前払い金で、スーパーなどでの小売り価格にも影響します。

 JA全農みやぎは20日に開催した会議で、2025年の米の概算金の基準を決めました。

 それによりますと、1俵60キロ当たりの金額はひとめぼれが2024年より1万1500円高い2万8000円、ササニシキが1万2500円高い2万9300円、だて正夢が1万1600円高い2万9300円となっています。

 いずれも2024年の1.7倍程度と過去最高価格となり、引き上げ額も過去最大を更新しました。

 2024年の米の概算金は追加で2回引き上げられていて、ひとめぼれは最終的に2万1500円にまで上がりました。2025年も更に引き上げられる可能性もあります。

 JA全農みやぎは、今回の引き上げ理由を「農家の生産経費に加え、営農が継続することができ、長期的な需要先の確保ができる水準で設定した」と説明しています。

 宮城県の各JAは今回決まったこの基準を基に、物流コストなど必要経費を差し引いて農家に実際に支払う概算金を決めます。

 気になるのは今後の小売り価格です。今回決まった概算金の基準を基に仙台市の米販売店に予想される店頭価格を聞いたところ、ひとめぼれは5キロで3500円から3600円になる見込みだということです。

 米は農家が農協に委託して、卸売業者に販売されています。農協が米を集荷した際に前払いとして農家に支払うのが、概算金です。

 概算金が基準となって、米の小売り価格が決められていきます。

 概算金のメリットは、米が実際に売れる前に出荷した時点で農家にまとまったお金が入ることです。

 米の収穫を終えた農家はすぐに翌年に向けて動き出さなくてはならず、資材や肥料を買ったり機械のローンを払ったりと現金が必要になってくるので、すぐに受け取れる概算金はこの資金繰りを支える重要な制度とされています。

 JA全農みやぎは今回、概算金を大幅に引き上げました。実際に概算金を受け取る米農家に聞きました。

 宮城県大崎市古川で、ひとめぼれを10ヘクタール作付けしている専業農家の佐々木俊悦さんです。

 佐々木俊悦さん「2024年より1万1500円ぐらい上がっていただいたので、農家生産者としてはとてもうれしい価格になりました」

 引き上げはうれしいものの、農家にとってはまたまだ厳しい状況が続きます。

 佐々木俊悦さん「資材、農薬、ガソリン、油、一番大きいのは農機具が高騰してますので概算金が上がったのはとても助かるが、農家経営はまだまだ厳しい状況が続く」

 佐々木さんは概算金が上がったことで、スーパーなどでの店頭価格が上がることも気になると言います。

 佐々木俊悦さん「消費者と生産者の理解の下、お互いに良い価格に安定していけばいいと思います」