終戦から80年が経ち、戦跡と言われる当時使われていた建物の老朽化が各地で問題になっています。千葉県茂原市にある「航空基地のシェルター」を取材しました。
茂原市の住宅街にひときわ目立つ灰色の巨大な建造物。「掩体壕(えんたいごう)」という戦闘機を敵の空襲から守るシェルターです。
1941年9月、日中戦争の本格化とその後の太平洋戦争に備えるため、茂原市には海軍航空基地がつくられました。
現在残されている「掩体壕」は10基あり、そのうち市が管理しているのは1基のみで、他は個人が所有しています。
掩体壕を所有する日色竹敏さん 「子どものころはここへ来て登りました。少しずつ雨漏りもしてきて、どうしたものかなと、管理を。子どもたちも大きくなって、ここに住む人もいないし、そろそろもう考えていかなきゃいけないのかなと」
日色さんは、老朽化などに悩まされつつも、歴史的な観点からこのまま残した方がいいのではないかという思いもあります。
「この辺で空中戦があったよとかそういう話は聞きましたけどね。今、現実に語れる人がいないですからね。貴重なものとして残せればいいけど」
日色さんのような個人所有者は、撤去にも莫大(ばくだい)な費用がかかるため、そのままガレージや物置として使っている人が多いそうです。
茂原市立美術館・郷土資料館 古山千尋学芸員 「基地を造るために強制的に立ち退きを求められ、戦後、戻った際、自分の所有地に掩体壕が残されていたという状況が考えられます」
市は当時の記録などを国に問い合わせましたが残っていないため、撤去や買い取りについて対応が難しい状況が続いています。
古山学芸員 「財政的な問題も抱えている形ではあるが、記録として啓発に努めるということは欠かさずに行っていけたらと考えます」
市は今後、「所有者の理解を深めながら後世に残していくための環境を整えていきたい」としています。