北海道のニセコ町では14日、16年ぶりの町長選挙の投開票が行われます。ニセコ町は外国人との共生に揺れるほか、町が取得した土地を巡って訴訟問題が起きていて、4人の候補が激しく競り合っています。

■ニセコ4000人分 水源ピンチ?

 11日、北海道のニセコ町は22万人分もの署名を集め、札幌高裁に提出しました。

ニセコ町 片山健也町長 「地方自治体が水を守るということについても、国の法的な面も応援いただければありがたい」

 2013年に町が1200万円で取得した土地は、住民の8割にあたる4000人の給水に欠かせない羊蹄山の麓の水源地。

 ところが、4代前の所有者、A社が町を提訴し、第三者によって17年前に土地が無断で売り払われたと主張。土地の返還を求めました。

4代前の所有者 「不正に売買が行われた。売ったつもりはない」

 1審ではニセコ町が敗訴し、町は控訴しました。

 11日、和解協議が行われましたが、ニセコ町側からの和解案が示されず、来月の協議に持ち越しとなりました。

 A社はおよそ5億円で町に土地を売る和解案を示していて、ニセコ町側は数千万円の和解案を提示するか検討しているということです。

■ニセコ町長選 16年ぶり投開票

 水資源に揺れる町。そのニセコ町で今週末行われるのが、新たな町長を決める「町長選挙」です。

 現職の片山町長はこれまで無投票での当選が続いたことで、今回の町長選挙は16年ぶりとなります。

 横浜市出身の福田恵一氏(57)。先月まで勤務した日産自動車で海外部門を担当していました。自動車業界での経験をもとに、ニセコ町の交通事情をより良くしたいと訴えます。

無・新 福田候補 「かなり交通不便で困ってらっしゃるでしょうから、就任しましたら早速また古巣の会社に行って(日産の)社長さんと自動運転の実証実験やるならば、うちに来てくれませんかという話をしようかと思う」

 候補の中で唯一町議経験のある前原孝植氏(45)。自家用車で町内を回り、お金をかけない選挙戦を展開します。

無・新 前原候補 「ニセコ町議会議員を2年半務めておりました。その時に見た数字や町政の運営、そういうものに疑問を生じており、強い憤りを感じております」

 町の財政の透明化を呼び掛けています。

 候補者の中で最も若い34歳の田中健人氏。2児の父で、子育てを中心とした住民参加・情報公開型の町を目指します。田中氏は5年前から、ニセコ町で官民連携のまちづくりの会社を経営しています。

無・新 田中候補 「日本人と外国人、あるいは元々住んでいる方、移住者というような立場や垣根を超え、対話を起点に話し合う。そういう住民自治が今のニセコにとってふさわしいという思い」

 小樽市在住の岸伸一氏(45)。小樽の風力発電計画に反対する市民団体の共同代表も務めています。12日は小樽市で仕事を終えてから、夕方にニセコ町に入り、自然を守りたいと訴え掛けました。

無・新 岸候補 「必要のないリゾート開発、太陽光発電、風力発電を規制する条例を作ります。それを日本各地で広めていきたい」

 5億円での売却案を持ち掛けられている町有地の訴訟問題についても、4候補に意見を聞きました。

福田候補 「町の和解案の作成にも積極的に早速取り組んでいきたいと思う」

前原候補 「いろんなやり方や争点を変えて増やして戦っていかなければいけなかったのかなと」

田中候補 「水資源、貴重なものですので、何らかの形ではしっかり守っていくっていうことは伝えていきたい」

岸候補 「水道民営化などにつながらないよう、そういう条例とかも作っていきたい」

 注目されるニセコ町の行方。投開票は14日に行われます。

(「グッド!モーニング」2025年9月13日放送分より)